- 特定技能のメリット・デメリットを知りたいです。
特定技能は、深刻な人手不足に悩む分野で、工場内作業や現場作業などができる在留資格です。
これから特定技能での外国人採用を考えているなら、メリットだけでなくデメリットも把握して、自社の生産性が上がる採用をしたいですよね。
この記事では、特定技能のメリット・デメリットと、特定技能の外国人採用が向いている企業を紹介しています。
外国人のビザ手続きの専門家で、様々なケースでの外国人雇用手続きをお手伝いしてきた行政書士が、特定技能のメリット・デメリットについてわかりやすく解説していきます。
特定技能の外国人の採用が向いている企業の特徴についても解説していますよ。特定技能の外国人の採用についてお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
特定技能とは
特定技能とは、外国人の就労資格の1つ。
人材確保が難しい12分野において外国人を受け入れることで、労働力不足を補うために創設された制度です。
外国人の雇用形態はアルバイトやパートではなく、正社員としてフルタイムでの雇用となります。
特定技能は1号と2号に分けられており、それぞれの違いは、在留期間や必要な技能などです。
特定技能1号は、特定の産業分野に関して、相当程度の知識又は経験を持っている外国人が申請できます。
通算で5年までの勤務が可能です。
特定技能2号は、特定の産業分野に関して、熟練した技能を持っている外国人向けの就労資格となっています。
要件を満たせば家族の帯同も可能です。
特定技能1号は、以下の12分野で受け入れが認められています。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
上記のうち、建設と造船・舶用工業のみ、特定技能2号の対象にもなっています。
似ている制度に「技能実習」という制度がありますが、技能実習は国際貢献が目的です。
特定技能は人材不足を解消するために作られた制度なので、人材不足でお悩みがある企業の場合は「特定技能」での採用が適しています。
特定技能の詳細や手続きについてもっと詳しく知りたい方は、「特定技能活用の5つのポイント」をお読みください。
特定技能のメリット
特定技能で外国人を採用するメリットは、以下のとおりです。
- 即戦力を採用できる
- 日本語能力が担保されている
- 学歴に関係なく採用できる
- 国内外から広く採用できる
- フルタイムで雇用できる
- 受け入れ人数に制限がない
- 国際的な職場環境づくりにつながる
- 単純作業でも雇用できる
即戦力を採用できる
特定技能の採用には、働く業界について一定以上の知識または経験が必要となるため、特定技能で採用した外国人は即戦力となります。
特定技能1号・2号ともに、技能試験に合格することが求められているのです。
特定技能1号の場合は、技能実習2号を修了していれば技能試験は不要となります。
特定技能2号の場合は、1号よりも高難度な試験内容となっています。
技能試験をクリアした外国人を採用するため、業界についての基本的な研修を行う必要が無く、研修コストの削減が可能です。
日本語能力が担保されている
特定技能の外国人は一定以上の日本語能力を持っているので、基本的なコミュニケーションが可能です。
特定技能1号の資格を得るためには、日本語能力試験に合格することが求められています。
- 日本語能力を試験等で確認
※技能実習2号を修了した外国人は試験等免除
技能実習2号の修了で試験免除となっているのは、技能実習2号を修了している時点で、3年は日本に住んで働いた経験があるためです。
特定技能2号の場合は、試験等での日本語能力の確認は不要となっています。
学歴に関係なく採用できる
技人国などの就労ビザでは、学歴が職種と一致している必要がありますが、特定技能の場合は学歴の一致は必要ありません。
職種:就労ビザに合致している
学歴:大学や専門学校を卒業している
専攻:専攻と業務内容が一致している
特定技能の場合は、大学卒・短大卒・専門学校卒である必要もないので、技能試験や日本語能力試験をクリアする能力があれば採用可能です。
国内外から広く採用できる
特定技能は、国内だけでなく海外からも採用が可能です。
- 国外試験(技能・日本語)に合格した外国人
※技能実習2号を修了した外国人は試験等免除
国内だけでなく、海外でも試験が行われています。
技能実習2号を修了して、既に帰国した外国人を呼び寄せるには、技能試験も日本語試験も必要ありません。
フルタイムで雇用できる
特定技能では、パートやアルバイトは認められていません。
原則、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ週労働時間が30時間以上
特定技能で認められた業種なら、アルバイトでよく働いてくれる外国人をフルタイムで雇用できるようになります。
学歴や職務内容で技人国ビザを申請できなかった場合でも、特定技能ならばチャンスがあるのです。
受け入れ人数に制限がない
技能実習は受け入れ人数が決められていますが、特定技能での採用には人数制限がありません。
※ただし、建設と介護分野を除く
特定技能ならば、即戦力となる人材を状況に合わせて採用できます。
国際的な職場環境づくりにつながる
まじめで責任感が強く、日本人以上に頑張る外国人が職場にいることで、共に働く日本人も士気が高まります。
日本の外からの目線で物事を考えられるので、日本人では思いつかないアイディアが生まれることもあります。
単純作業でも雇用できる
特定技能は、職務内容が単純作業でも雇用できます。
ただし、12分野にあてはまっていなければならないので注意が必要です。
単純作業的なアルバイトからの正社員雇用は、他の就労資格では難しいですが、特定技能なら可能となる場合があります。
特定技能のデメリット
特定技能で外国人を採用するデメリットは、以下のとおり。
- 複雑な手続きが求められる
- 試験の実施は3月のみ
- 転職される可能性がある
- 企業都合での解雇ができなくなる
- 人材紹介料が高め
複雑な手続きが求められる
特定技能の手続きは複雑です。
地方出入国管理局での手続きだけでなく、国によっては本国側が定める独自の手続きが必要な国もあります。
特定技能の外国人を即戦力として確実に雇用したいならば、専門家に任せるのがおすすめです。
試験の実施は3月のみ
海外でも試験は実施されていますが、現時点では、海外での試験実施は国も日程も限られています。
2023年の国外試験が行われる国は10ヶ国ほどで、日程は3月に数日ほどのみです。
日程が限られているので、時期があわなければ、採用までに時間がかかってしまいます。
転職される可能性がある
特定技能で採用されている場合、同じ分野なら転職が可能となっています。
ただし、変更許可申請中は働くことができないという条件があるので、転職は厳しいものとなります。
次の職場で働き始めるまでは収入が無くなるため、行う人はほとんどいません。
企業都合での解雇ができなくなる
特定技能で採用した外国人は、やむを得ない理由が無い場合、企業都合での解雇はできません。
能力不足や迷惑行為、在留資格が取り消されたなど、労働者側の原因で解雇することは可能です。
人材紹介料が高め
特定技能で採用するために人材紹介サービスを利用する場合、手数料がかかります。
相場は、外国人の年収の2~3割程度です。
しかし、採用にかかる費用は、紹介手数料だけではありません。
在留資格申請費用や、国によっては送り出し機関に払う費用が発生する場合もあるのです。
特定技能で外国人を採用するにあたっては、多くの費用がかかる可能性が高くなっています。
特定技能での外国人採用が向いている企業
特定技能での外国人採用が向いているのは、以下の企業です。
- 留学生アルバイトを正社員として雇用したい企業
- 日本人を募集しても集まらず人手不足の企業
- 即戦力となる人材を大量に採用したい企業
留学生アルバイトを正社員として雇用したい企業
留学生アルバイトを正社員として雇用したいと考えた時に、技人国ビザなどは学歴や職種の要件が当てはまらず、変更できない場合が多くなっています。
特定技能であれば、単純作業的な内容でもフルタイムの正社員としての雇用が可能です。
ただし、12の対象分野に当てはまっている必要があります。
日本人を募集しても集まらず人手不足の企業
特定技能の対象分野ならば、工場内作業や現場作業、接客などが認められています。
日本人を募集しても人が集まらず、人手不足となりがちな職務内容でも、特定技能ならば外国人を採用できるのです。
特定技能の外国人を採用することで、人手不足の解消へと繋がります。
即戦力となる人材を大量に採用したい企業
特定技能で採用できる外国人は、日本語や技能の面で一定以上のスキルがあるため、即戦力となります。
紹介サービスを利用して、特定技能の外国人を大量に紹介してもらうことで、一度に多くの外国人採用が可能です。
【まとめ】特定技能での外国人雇用にはメリットが多い
特定技能での採用には、企業にとってのメリットが多くあります。
以下の条件に合う場合は、特定技能での外国人採用が向いています。
- 留学生アルバイトをそのまま正社員として雇用したい
- 人手不足を解消したい
- 優秀な即戦力を大量に採用したい
ただし、特定技能の手続きは複雑で、申請書類の準備や手続きの時期を誤ると入社できなくなる可能性もあるので注意が必要です。
特定技能の申請に不安がある場合は、手続きを行政書士に任せる選択肢もあります。
しらき行政書士事務所は、外国人のビザ手続きの専門家です。
留学から就労ビザへの申請手続き、新規呼び寄せでの就労ビザ取得、転職時のビザ申請手続きなど、様々なケースの就労ビザ申請をサポートしている行政書士が親身になって対応します。
特定技能の手続きでお悩みの方は、しらき行政書士事務所にぜひご相談ください。