私は永住ビザを持っていて、今は日本人の夫とその間にできた子どもとの3人暮らしです。日本に来る前に、母国で一度結婚をしていたのですが、その時にできた子どもがいて、現在は母国の私の両親が面倒をみてくれています。その子は現在16歳です。
知人に聞いたら、私のこの子を日本に呼び寄せることができると聞いたのですが、それは可能なのでしょうか?
今回のご相談のケースでは、お子さんを「定住者ビザ」で呼び寄せることが可能です。定住者ビザの場合、就労制限がないなど、日本における活動についてほかのビザに比べて自由度の高いビザです。
しかし、この定住者ビザには年齢などの条件があり、ビザを申請する時期によっては、お子さまを日本に呼び寄せられなくなる可能性もありますので、申請のタイミングには注意が必要です。
目次
定住者ビザの基本的な4つの要件を押さえよう
今回のご相談者様のように、永住ビザを持っている方のお子さんの場合、いくつかの条件を満たせば、「定住者ビザ」を取得して日本に呼び寄せることが可能です。基本的な要件は以下の4点です。
- 扶養を受けること
- 未成年であること
- 未婚であること
- 実子であること
1.扶養を受けること
定住者ビザでお子さんを呼び寄せるための条件は、その子を日本で扶養する必要があります。そのため、本国ですでに仕事をしているなど、お子さんがすでに自立している場合はこの「扶養を受けること」には該当しません。
一般的に、義務教育期間の学齢(15歳)までであれば、親が扶養する必要があるとみなされ、扶養要件についてはクリアできます。
しかし、今回のご相談のケースのように、お子様の年齢が義務教育期間を過ぎている場合、扶養要件については厳しく審査されます。そのため、日本に呼び寄せた後の教育や自立までの計画を具体的に提示することが必要となります。
また、現在のお子さんの扶養の状況も審査に影響します。現在は相談者様のご両親が本国で面倒をみてくれているとのことですが、その生活費について日本から送金している場合は、そのお子さんを扶養しているとみなされます。ですので、申請の際には仕送りの記録を添付書類として提出することをおすすめします。
2.未成年であること
2つ目の条件としては、お子さんが未成年であることです。この未成年かどうかという判断は、日本の法律が基準となります。
注意しないといけないのが、2022年4月1日から、成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられた点です。これにともない、定住者ビザでの未成年という要件も18歳未満の子という取り扱いに変更されました。
今回のご相談では、お子様が16歳とのことで、まだ時間的余裕はありそうです。しかし、この未成年という要件は、日本に入国する時点でのはなしです。最終的に定住者ビザで日本に入国するまでには、「日本側(入管)での申請」、「本国側(大使館)での申請」をクリアする必要があります。
申請書類の準備や郵送でのやり取り、審査期間などを考慮すると、入国できるまでには早くても3か月、審査の状況によっては6か月近くかかる場合もあります。
この未成年という年齢を超えてしまうと、定住者ビザの申請ができなくなってしまいますので、お子さまが18歳になる前に日本に入国できるように申請準備を進めることがとても大切です。
3.未婚であること
3つ目の要件は、そのお子さまがまだ結婚していないということです。呼び寄せるお子さまがすでに結婚している場合、定住者ビザでの呼び寄せはできません。
日本においても、結婚をするとそれぞれの両親の戸籍から離れ、夫婦二人の新しい戸籍が作られ、独立した世帯になります。つまり、結婚しているということは、すでに自分の家庭があり独立しているとみなされるのです。
その状態では、一つ目の条件である「扶養を受けること」からも外れますので、お子さまを日本に呼ぶことはできません。
4.実子であること
4つ目の条件は、永住ビザを持っている方の実のお子さんであるということです。
今回のケースにおいては、ご相談者様の夫である日本人の方と、呼び寄せる予定のお子さまとは血縁関係がありません。しかし、定住者ビザにおいては、両親との血縁関係までは求められていませんので、今回のようにいずれかの親との血縁関係があれば問題ありません。
なお、扶養者となる方とお子さまとの血縁関係は求められません。つまり、今回のケースにおいて、ご相談者様の現在の夫である日本人の方が、お子様の扶養者となることは可能です。
ちなみに、今回のケースとは異なりますが、実子ではなく養子であっても定住者ビザに該当する場合があります。ただし、条件としてその養子であるお子さんが、日本入国時点で6歳未満であることが必要です。
永住者の子は定住者ビザでの呼び寄せが可能
今回のご相談のように、永住者のお子さんであれば、比較的自由度の高い定住者ビザで日本に呼び寄せることが可能です。
しかし、様々な要件を満たす必要があり、未成年という条件は法律の改正により20歳未満から18歳未満に引き下げられていますので特に注意が必要です。
また、未成年という要件を満たしていても、今回のご相談のように比較的年齢の高いお子様の場合は簡単には許可となりません。
成人年齢に近い場合、もし申請をして不許可となってしまうと、再度申請をしても日本入国時に成人年齢を超えてしまうおそれがあります。
このようなリスクを避ける意味で、専門家を活用するのも一つの方法です。しらき行政書士事務所では、これまで定住者ビザでのお子さまの呼び寄せに関する申請を多数行ってまいりました。中には、成人年齢に近い方の許可実績もございます。
お子さまを少しでも早く日本に呼びたいと思われている方は、一度しらき行政書士事務所までお気軽にご相談ください。