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登録支援機関がすべき実務

出入国管理及び難民認定法の平成30年における改正により、「特定技能1号」「特定技能2号」という新しい在留資格が設けられました。これによって、外国人労働者の仕事のサポートをするための「登録支援機関」と呼ばれる団体が日本全国で増えてきています。登録支援機関としての活動を検討している企業も多いことでしょう。

しかし、「登録支援機関になった場合、具体的にどんな実務をすれば良いのか分からない」と迷っている企業もいるかと思います。そこで今回は、登録支援機関の実務の中から「届出」に注目して、概要を分かりやすく説明します。

登録支援機関の支援業務とは?

登録支援機関の届出の実務の中には、支援の実施状況に係る届出が含まれます。届出の実務についてイメージを持つためには、まず登録支援機関が手がける支援業務の概要を理解しておく必要があるでしょう。

登録支援機関は、支援計画に盛り込まれたすべての支援業務を引き受けることが必要です。なお、再受託は禁止されています。とはいえ、支援業務の補助として、通訳やタクシーなどを利用するといったことは認められています。

支援計画の作成は受入れ機関の義務ですが、登録支援機関が作成を補助すること自体は問題ありません。登録支援機関の業務としては、支援計画に関する規定を正確に把握したうえで、支援計画作成のための適切なサポートを提供することが挙げられます。

以下に、支援計画の概要をまとめました。

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約に係る支援
  • 生活オリエンテーション
  • 日本語学習の機会提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職サポート(受入れ機関の都合による契約解除のケース)
  • 定期面談および行政機関への通報

上記の項目は、登録支援機関から見たときに、義務的支援と任意的支援に分けられます。それぞれの支援業務の内容を順番に解説します。

特定技能外国人への義務的支援

義務的支援は受入れ機関または登録支援機関が必ず実行しなければならない支援であり、支援計画にはそのすべての事項が記載されていなければなりません。

登録支援機関が登録を受けるには義務的支援のすべてに適切に対応できる体制を有していることが求められ、義務的支援の実行に問題があると見なされれば当局による指導や登録取消しの対象となります。

下表に、義務的支援の概要を簡単にまとめました。

項目 義務的支援の概要
事前ガイダンス 特定技能の外国人が日本に来る前に、雇用・活動内容・日本での生活などに関してガイダンスを実施する必要があります。ガイダンスは、外国人が理解しやすい言語で、直接会って行ったり、ビデオ通話を使ったりして行います。
出入国する際の送迎 外国人が日本に到着した際、彼らを迎えに行き、帰国時にも送ることが求められます。
住居確保・生活に必要な契約 外国人の住む場所の確保や銀行口座の開設、携帯電話や公共サービスの契約などをサポートする必要があります。
生活オリエンテーション 日本での生活に慣れるため、到着後すぐに、少なくとも8時間はオリエンテーションを行います。
日本語学習の機会提供 外国人が日本語を学びたい場合、無駄に高い学費がかからないようにサポートします。
相談・苦情への対応 もし特定技能の外国人から仕事や日常生活に関する質問や悩みがあったら、すぐに対応しアドバイスをします。
日本人との交流促進 外国人に対して地域のイベントや交流活動に関する情報を提供し、参加する場合は手伝います。
転職サポート 企業の経営困難などの理由で外国人が仕事を辞める際、求職の時間を確保できるよう有給休暇を付与し、離職にあたって必要となる行政手続きに関する情報を提供します。
定期面談および行政機関への通報 支援責任者もしくは支援担当者は、外国人とその上司との間で、定期的に(少なくとも3か月に1回)、直接対面して面談を実施します。

特定技能外国人への任意的支援

任意的支援は義務的支援に加えて行うことが望ましいとされる支援です。支援計画に記載するかどうかは任意ですが、記載した場合には実施の義務が生じることに注意が必要です。

義務的支援を適切に遂行する上で任意的支援が実質的に必要になる場合があると考えられますし、登録支援機関としてのサービスの質にも関わる問題ですので、任意的支援については総合的に判断することが求められます。

下表に、任意的支援の概要を簡単にまとめました。

項目 任意的支援の概要
事前ガイダンス 外国人が日本に入国してから働くまでの間、日本の生活に関する情報(例:日本の気候に合った服装や日本へ持参すべきものと持ってはいけないものなど)のアドバイスを提供することが望ましいです。
出入国する際の送迎 すでに日本に滞在している外国人を雇用する場合、彼らを迎えに行く義務はありません。しかし、送迎しない時は、どのように移動するのかや、緊急時の連絡方法などをちゃんと教えてあげることが望ましいです。
住居確保・生活に必要な契約 仕事が終わった後、次の仕事場所が見つかるまでの住居や生活のサポートについても、必要に応じて義務的支援と同様のレベルでの提供が推奨されます。
生活オリエンテーション 健康保険や年金などの手続きは外国人自身が行う必要があるため、彼らをサポートして手続きを手伝うのが理想的です。
日本語学習の機会提供

外国人の日本語学習のサポートについては、任意的支援として、以下のような事項が挙げられます。

  • 職員による日本語指導や講習に関する積極的な企画・運営
  • 日本語能力試験の受験支援・資格取得者への優遇措置の実施
  • 日本語学習に要する費用サポート
相談・苦情への対応 外国人が公的機関に質問や苦情を持ちかける際のサポートも望ましいです。これには、相談窓口のリストの提供や、専用のメールアドレスの設置などが含まれます。
日本人との交流促進 もし外国人が地域のイベントなどに参加したい場合、休暇の調整などのサポートを講じるのが望ましいです。
転職サポート
定期面談および行政機関への通報 何か問題が起きた場合、外国人が通報しやすいように、関連する機関の情報を提供しておくことが良いでしょう。

登録支援機関として必要な届出の実務

ここからは、登録支援機関として必要な届出の実務について説明していきます。

登録支援機関には、以下のような各種届出が求められています。届出を怠ると登録を取り消される場合もありますので、十分に留意する必要があります。

  • 支援の実施状況に係る届出(定期届出)
  • 登録事項変更に関する届出
  • 休廃止の届出

それぞれの届出の内容を順番に解説します。

支援の実施状況に係る届出(定期届出)

登録支援機関は、支援委託契約の相手方(特定技能所属機関)の住所を管轄する地方出入国在留管理局に、支援実施状況等を記載した書類を提出しなければなりません。

支援実施状況に係る届出を行う必要があるのは、登録支援機関が支援の全部の委託を受けている場合のみです。

四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内に届出を行う必要があります。なお、四半期は次のように定められています。

  • 第1四半期 : 1月1日から3月31日まで
  • 第2四半期 : 4月1日から6月30日まで
  • 第3四半期 : 7月1日から9月30日まで
  • 第4四半期 : 10月1日から12月31日まで

届出事項は以下のとおりです。

  • 特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地および在留カード番号
  • 特定技能所属機関の氏名または名称および住所
  • 特定技能外国人から受けた相談の内容および対応状況(労働基準監督署への通報および公共職業安定所への相談の状況を含む)
  • 出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為の発生、特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況 

特定技能所属機関から支援の全部委託を受けている登録支援機関が、定期届出を行う場合に提出する書類は以下のとおりです。

【必ず提出する書類】
  • 支援実施状況に係る届出書(参考様式第4-3号)
  • 1号特定技能外国人支援対象者名簿(参考様式第4-3号(別紙))
【ケースに応じて提出する書類】
  • 相談記録書(参考様式第5-4号)
  • 定期面談報告書(特定技能外国人用)(参考様式第5-5)
  • 定期面談報告書(監督者用)(参考様式第5-6号)
  • 生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8)※
  • 転職支援実施報告書(参考様式第5-12号)
  • 支援未実施に係る理由書(参考様式第5-13号)
  • 理由書(任意様式)

定期届出の実務について、詳しくは出入国在留管理庁のWebサイトでご確認ください。

登録事項変更に関する届出

登録支援機関として活動している企業に下記のような変更が発生した場合は、変更届を提出する必要があります。

  • 事業者の氏名または事業名
  • 事業所の住所
  • 企業代表者の氏名
  • 支援業務を行う事務所の所在地
  • 支援業務の内容および実施方法
  • 支援業務を開始する予定年月日
  • 特定技能外国人からの相談に応じる体制の概要

登録支援機関の変更届は、変更が生じた日から14日以内が提出期限です。変更届の提出を失念していた場合は、早急に提出しましょう。

提出を怠った場合や、提出した後に出入国在留管理局側で登録拒否事由に該当していることが発覚した場合は、登録支援機関として活動できなくなる可能性があるため注意が必要です。

登録支援機関として情報を登録した後、変更が生じた場合は、変更届に必要な書類を揃えて提出しなければなりません。必要書類の一覧は、以下のとおりです。

変更事項 添付書類 特記事項
氏名又は名称

<共通>
登録支援機関概要書

<法人の場合>
登記事項証明書

<個人事業主の場合>
・住民票の写し
・変更後の屋号を明らかにする書類

・支援を行う事務所の名称も同時に変更となる場合、届出書の変更事項欄および登録支援機関概要書に記載する

・登録支援機関概要書には、該当する変更部分のみを記載する

住所

<共通>
登録支援機関概要書

<法人の場合>
登記事項証明書

<個人事業主の場合>
住民票の写し

・郵便番号または電話番号のみを変更する場合、変更事項を「住所」として届出をする(添付書類は不要)

・支援業務を行う事務所の所在地も同時に変更となる場合、届出書の変更事項欄および登録支援機関概要書に記載する

・登録支援機関概要書には、該当する変更部分のみを記載する

代表者の氏名

・登録支援機関概要書
・登記事項証明書
・住民票の写し

・登録支援機関概要書には、該当する変更部分のみを記載する

支援業務を行う事務所の所在地

・登録支援機関概要書

・支援を行う事務所の名称を変更する場合、変更事項を「支援業務を行う事務所の所在地」として届出をする

・登録支援機関の住所も同時に変更になる場合、届出書の変更事項欄および登録支援機関概要書に記載する

・登録支援機関の名称も同時に変更になる場合、届出書の変更事項欄および登録支援機関概要書に記載する

・登録支援機関概要書には、該当する変更部分のみを記載する

支援業務の内容および実施方法

・登録支援機関概要書

・登録支援機関概要書には、該当する変更部分のみを記載する

支援業務を開始する予定年月日

 

登録申請時に申請書に記載した予定年月日に支援業務を開始しない場合に届出をする

特定技能外国人からの相談に応じる体制の概要

・登録支援機関概要書

・対応可能言語を追加もしくは削除した場合、届出をする

・登録支援機関概要書には、該当する変更部分のみを記載する

変更届の実務についても、詳しくは出入国在留管理庁のWebサイトでご確認ください。

休廃止の届出

登録支援機関が支援業務を休止または廃止するときには、支援業務の休止又は廃止に係る届出書を提出する必要があります。届出の期間は、休止または廃止の日から14日以内で、その期間中に支援業務の休止または廃止に係る届出書を地方出入国在留管理局に提出しなければなりません。

特定技能所属機関から委託を受けて支援中である場合、1号特定技能外国人に対する支援への影響がないよう、特定技能所属機関と事前に相談して対応を決める必要があります。

なお、支援業務廃止の届出をした場合には登録効力は失われてしまいますが、支援業務休止の届出をした場合には登録効力が失われないため、地方出入国在留管理局に届出をすれば支援業務を再開することが可能です。

休廃止の届出に必要な書類は以下のとおりです。

  • 届出書
  • 身分を証する文書等の提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封)

具体的な届出事項は下記になります。

  • 届出機関の情報(氏名又は名称、住所等)
  • 休廃止又は再開をする旨

【参考】登録支援機関として登録を受けるための要件

最後に、参考情報として、登録支援機関として登録を受けるための要件を提示します。主な要件は以下のとおりです。

  • 支援責任者および1名以上の支援担当者を選任している
  • 以下のいずれかに当てはまる
    〇 登録支援機関になろうとする個人または団体が2年以内に中長期在留者(就労資格に限る)の受入れ実績がある
    〇 登録支援機関になろうとする個人または団体が2年以内に報酬を得る目的で業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有する
    〇 選出された支援責任者および支援担当者が過去5年間に2年以上中長期在留者(就労資格に限る)の生活相談業務に従事した経験を有する
    〇 上記のほか、登録支援機関になろうとする個人または団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められている
  • 外国人が十分理解できる言語で情報提供等の支援を実施することができる体制を有している
  • 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させていない
  • 支援の費用を直接は間接的に外国人本人に負担させない
  • 5年以内に出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為を行っていない

終わりに

登録支援機関になった場合、届出の実務としては「支援の実施状況に係る届出(定期届出)」「登録事項変更に関する届出」「休廃止の届出」が義務付けられます。必要な届出を怠ると、登録支援機関として活動できなくなる可能性があるため注意しましょう。

しらき行政書士事務所は、登録支援機関でもあります。登録支援機関がすべき実務の内容を詳細に把握しており、必要に応じてアドバイス・サポートを行うことが可能です。

登録支援機関への登録を検討している事業者様で、「登録支援機関がすべき実務について、わからないことがある」「登録支援機関として登録されるまでの手続きをサポートしてほしい」といった場合には、お気軽にしらき行政書士事務所までお問い合わせください。

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