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ベトナム人との国際結婚の手続き

出入国在留管理庁の令和5年10月13日の統計によると、日本に住むベトナム人は520,154人(前年末比:+30,842人)に上り、在留外国人の中で中国に次いで多い国籍となっています。この傾向から、今後もベトナム人との国際結婚が増加すると予想されます。

実際に、多くの方がベトナム人との国際結婚を検討しており、手続きの準備を進めている状況です。国際結婚に必要な書類や手続きの方法について疑問を持つ方も多く、これに関する相談件数が増えています。

そこで今回は、日本人とベトナム人の国際結婚手続きについて、「ベトナム側で最初に届出を行うケース」と「日本側で最初に届出を行うケース」に分けてご説明します。

ベトナム・日本のどちらで先に国際結婚手続きを行うべきなのかについても紹介していますので、ぜひ本記事を参考にしてください。

ベトナム人との国際結婚に求められる手続き|ベトナム側で最初に届出を行うケース

まずは、ベトナム側で最初に届出を行うケースにおけるベトナム人との国際結婚に求められる手続きについて、以下のステップに沿って説明します。

  1. 在ベトナム日本国大使館で婚姻要件具備証明書を取得する
  2. 婚姻要件具備証明書を認証してもらう
  3. 区・県人民委員会で婚姻登録し、婚姻証明書を取得する
  4. 日本の市役所(区役所)で報告的婚姻届をする
  5. 出入国在留管理局で在留資格認定証明書の申請をする

それぞれのステップですべきことを順番に詳しく解説します。日本人婚約者がベトナムに渡航する場合が、このパターンになります。手続きが煩雑ですので計画的に進めることが重要です。

婚姻登録手続きは、各地方人民委員会によって細かな要求事項が異なることがあります。そのため、具体的な手続きに進む前に、対象地域の地方人民委員会司法局に必要な書類と手続きの詳細を事前に確認することを強く推奨します。

① 在ベトナム日本国大使館で婚姻要件具備証明書を取得する

婚姻要件具備証明書は、ベトナムにある日本国大使館や日本国内の法務局で申請することができます。ここでは、ベトナムの日本国大使館での申請プロセスに焦点を当てて説明します。

この証明書は、「申請者が独身で、法的な婚姻の障害がなく、婚姻能力がある」ことを明確に示す必要があります。ただし、「日本の法令に基づいて婚姻が可能である」という記載だけでは不十分です。

婚姻要件具備証明書の種類には以下があります。

  • ア:形式1(申請者本人が独身である上に、日本の法令上婚姻可能な年齢に達していることを証明するもの)
  • イ:形式2(上記アに加えて、婚姻相手の氏名を記載し、日本の法令上同婚姻相手と婚姻することに支障はないことを併せ証明するもの)

婚姻要件具備証明書は、日本人自身が在ベトナム日本国大使館に出頭し、申請します。

主な必要書類は以下のとおりです。

  • 証明書発給申請書(大使館に備え付けもしくはHPよりダウンロード可)
  • パスポート(提示)
  • 戸籍謄本(発行日から3か月以内のもの)
  • 婚姻相手の身分証明書(提示)
  • 婚姻相手の婚姻状況証明書(公安局発行、上記「イの形式2」を申請する場合)

② 婚姻要件具備証明書を認証してもらう

日本で取得した婚姻要件具備証明書と健康診断書は、ベトナムの日本国大使館で認証を受ける必要があります。

また、ベトナムの日本国大使館で取得した婚姻要件具備証明書の場合、最初にベトナム外務省領事局で認証を受ける手続きが必要です。その後、地方人民委員会の各区事務所で、この文書のベトナム語への翻訳を取得してください。

日本の法務局で取得した婚姻要件具備証明書については、次の手順で認証を行います。まず、在ベトナム日本国大使館で「公文書上の印章証明書」を受け取ります。この証明書は、婚姻要件具備証明書に押された公印が真正であることを証明するものです。

次に、ベトナム外務省領事局での認証を受け、最終的に地方人民委員会の各区事務所で、証明書のベトナム語への翻訳を取得します。

日本の公立総合病院で取得した健康診断書の認証手順についても以下に説明します。

  1. 日本国内の公証人役場で公証を受ける
  2. 上記1の公証人役場が所属する地方法務局にて証明書(上記1の公証が有効なものであることの証明書)が発給される
  3. 日本の外務省もしくは在ベトナム日本国大使館で「公文書上の印章証明書」(上記2の地方法務局発給の証明書に押印されている公印が真正なものであることを証明するもの)が発給される
  4. 上記3において日本の外務省で公文書上の印章証明書の発給を受けた場合、在日ベトナム大使館で認証を受ける
  5. 上記4において在ベトナム日本国大使館で公文書上の印章証明書の発給を受けた場合、ベトナム外務省領事局で認証を受ける
  6. 地方人民委員会各区事務所でベトナム語への翻訳を取得する

③ 区・県人民委員会で婚姻登録し、婚姻証明書を取得する

ベトナムでの婚姻登録は、ベトナム人婚約者の本籍地にある地方人民委員会で行います。登録申請の際には、カップルのどちらか一方が必ず窓口に出頭し、必要書類を提出する必要があります。

日本国籍者が準備する提出書類についての詳細は以下になります。

  • 婚姻登録申請書
  • 婚姻要件具備証明書(発行日から6か月以内のもので、在ベトナム日本国大使館の証明・認証を受けたもの)
  • 公立の総合病院(診療科目として精神科を含む病院)が発行する健康診断書(自己の意思表示を行う能力を有し、結婚生活に支障がない旨の記載が必要。発行日から6か月以内のもの)※日本の病院が発行するものについては、関係機関による証明・認証が求められる。
  • 日本国籍者の旅券(原本提示およびコピーの提出。原本の提示が不可能なケースでは、ベトナム公証役場で公証を受けたコピーを提出)

登録申請を受理してから婚姻登録証明書が交付されるまでの期間は最長で15日です。証明書が交付される日には、当事者両名が必ず出席する必要があります。

④ 日本の市役所(区役所)で報告的婚姻届をする

ベトナムで婚姻登録手続きが完了し、婚姻が成立した後、日本国内の市役所や区役所もしくは在ベトナム日本国大使館のいずれかで、3か月以内に婚姻届の提出が必要です。

日本の市役所や区役所に婚姻届を提出すると、通常1週間程度で日本の戸籍に婚姻成立の事実が記載されます。なお、婚姻成立日はベトナムでの婚姻登録日(登録台帳に記載された日)とされます。

婚姻証明書が発行された後、日本の市役所や区役所、または在ベトナム日本国大使館に報告用の婚姻届を提出する必要があります。日本国内の場合、この報告は日本人配偶者一人でも行うことが可能です。

⑤ 出入国在留管理局で在留資格認定証明書の申請をする

夫婦が一緒に来日を希望する場合、婚姻の報告後、日本人配偶者の親族(例:両親)に代理人として配偶者ビザの申請を出入国在留管理局で行ってもらいます。このビザ申請は「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書交付申請として行われます。

審査が通り、許可が下りたら、在留資格認定証明書の原本をベトナムの日本国大使館に送ってもらいます。その証明書をもとに、在ベトナム日本国大使館でビザの発給申請を行います。パスポートに貼付される形でビザが発給されれば、在留資格認定証明書の原本を持って日本への入国が可能になります。

ベトナム人との国際結婚に求められる手続き|日本側で最初に届出を行うケース

続いて、日本側で最初に届出を行うケースにおけるベトナム人との国際結婚に必要な手続きを解説します。

  1. 市区町村役場で婚姻届に必要な書類を問い合わせる
  2. 駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書を申請する
  3. 市役所(区役所)で婚姻届を提出する
  4. 駐日ベトナム大使館で報告的婚姻届をする
  5. 出入国在留管理局で配偶者ビザを申請する

それぞれ順番に解説します。

① 市区町村役場で婚姻届に必要な書類を問い合わせる

日本でベトナム人との国際結婚を先に届け出る場合は、まず届出を予定している市役所や区役所で、婚姻届に必要な書類を確認することから始めます。

② 駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書を申請する

ベトナム人が日本に留学や就労ビザで滞在している場合、駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書を申請します。ただし、短期滞在の場合は大使館がこの証明書を発行しない方針です。

必要書類は以下のとおりです。

  • 婚姻要件具備証明書の申請書
  • 旅券原本と旅券の2ページ目、3ページ目のコピー
  • 日本の市区町村役場から発行してもらう結婚登録書に自分の名前が記載されていない証明書 (日本在留のベトナム人が日本で結婚していない旨を証明する文書)
  • ベトナム人当事者在住の町村級の人民委員会から発行してもらう婚姻状況確認書の原本 (ベトナム人の独身証明書)
    ○ 日本で留学や就職中のケースは、婚姻状況に関する確認書の取得について駐日ベトナム大使館に問い合わせてください。
    ○ 技能実習生のケースでは、結婚を行う前には管理団体や所属会社から結婚許可書や承諾書を取得する必要があります。
  • 法的効力のある日本国内在住の証明書の提示(例:住民票、在留カード)

③ 市役所(区役所)で婚姻届を提出する

駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書を取得できた場合は、その証明書を持って日本の市役所や区役所で婚姻届を提出します。

もしベトナム人婚約者がベトナムにいる場合、大使館からは婚姻要件具備証明書の発行が行われないため、代わりにベトナム本国で独身証明書や出生証明書など、婚姻要件を満たしていることを証明する書類を集めて提出する必要があります。

提出する前に、書類が必要となる市役所や区役所でどのような書類が求められるか事前に確認しましょう。

主な必要書類は以下のとおりです。

  • 婚姻届(本人と証人2名の署名が求められる)
  • ベトナム人のパスポートと在留カード
  • 婚姻要件具備証明書
  • 出生証明書と日本語訳
  • 日本人の戸籍謄本 

婚姻要件具備証明書が取得できないケースで必要な書類は主に以下のとおりです。

  • 婚姻届(本人と証人2名の署名が求められる)
  • 独身証明書(婚姻状況確認書)と日本語訳
  • 出生証明書と日本語訳
  • ベトナム人のパスポートの写し
  • 申述書
  • 日本人の戸籍謄本

④ 駐日ベトナム大使館で報告的婚姻届をする

日本の市役所(区役所)で婚姻届が受理された後、ベトナム人配偶者が日本在住であれば、その事実を駐日ベトナム大使館に報告します。このケースでは、駐日ベトナム大使館から婚姻証明書が発行されます。

一方、ベトナム人配偶者が日本に在住でなく、または駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書が発行されなかった場合、駐日ベトナム大使館では報告的婚姻届出を受け付けてくれません。

そのため、ベトナム本国に対して婚姻の報告的届出を行い、ベトナムの役場で婚姻証明書を発行してもらう必要があります。

駐日ベトナム大使館への届出に必要な書類は主に以下のとおりです。

  • 婚姻届受理証明書
  • 戸籍謄本(婚姻事実記載あり)
  • ベトナム人のパスポート
  • 日本人のパスポート

ベトナム本国の役場への届出に必要な書類は主に以下のとおりです。

  • 婚姻届受理証明書
  • 戸籍謄本(婚姻事実記載あり)

提出する書類は、日本の外務省での公印確認と駐日ベトナム大使館での認証を受ける必要があります。また、届出を行うベトナム本国の役場に事前に連絡し、必要書類について確認してください。

⑤ 出入国在留管理局で配偶者ビザを申請する

ベトナムで報告的婚姻届が完了した後、日本の出入国在留管理局(入管局)に配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請を行います。この配偶者ビザ申請は国際結婚手続きの中で最も困難な部分とされています。

入管局に提出する主な婚姻証明書類は以下のとおりです。

【日本人配偶者】

  • 戸籍謄本(婚姻事実記載あり)

【ベトナム人配偶者】

  • 婚姻証明書+日本語訳

ベトナム・日本のどちらで先に国際結婚手続きを行うべき?

ベトナム方式で国際結婚手続きを行う場合、両者が共に手続きのためにベトナムに出向く必要が多くあり、しばしば何度も渡航する必要が生じます。

一方、日本方式での手続きを選べば、ベトナム人配偶者から送られた書類を使用して、日本人だけで手続きを進めることが可能です。これにより、国際結婚を比較的スムーズに成立させることができるでしょう。

ただし、もしベトナム人配偶者が日本に在留資格を持たずに滞在していない場合、国際結婚手続き後に配偶者ビザの取得が困難となり、結婚後も一緒に暮らすことが難しい状況に陥ることがあります。

手続きの進め方に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は適切なアドバイスを提供し、手続きをスムーズに進める最良の方法を判断してくれます。

ベトナム人との国際結婚に求められる手続き|日本だけで届出を行うケース

日本に住むベトナム人と結婚する際は、ベトナムで発行された婚姻状況証明書を日本の市役所に提出することができます。

ただし、日本での婚姻届を提出した後、ベトナムで必要となる結婚に関する公式証明書は、ベトナムの人民委員会で発行されます。このため、ベトナム人配偶者がベトナムへ帰国して証明書の発行を受ける必要があり、これには時間と労力がかかります。

一方で、在日本のベトナム大使館や領事館で「婚姻要件具備証明書」を受け取っている場合は、「結婚に関する証明書」も同じく在日のベトナム大使館や領事館から発行されます。

これらの証明書は、ベトナム人配偶者の在留資格変更申請を行う際に出入国在留管理局に提出する必要がある重要な書類です。

日本国内で結婚手続きを完結させたい場合は、在日本のベトナム大使館や領事館で必ずこれらの証明書を発行してもらうことが必要です。

ベトナムと日本の婚姻要件の違い

ベトナムには、独自の婚姻要件と禁止事項が定められています。これらの要件は日本と異なる部分がありますので、注意が必要です。主な要件と禁止事項は以下の通りです。

  • 結婚するための最低年齢は、男性が満20歳以上、女性が満18歳以上で
  • 出国目的での偽装結婚は禁止されている
  • 同性間の結婚は認められていない
  • すでに結婚している人との再婚は禁止されている
  • 夫婦は同じ姓を持つことが基本とされている

これらの規定は日本と異なっているので、ベトナム人との結婚を考えている場合は、これらの要件を事前に確認しておくことが重要です。

ベトナム人との国際結婚手続きに関するよくある質問

最後に、ベトナム人との国際結婚手続きに関するよくある質問と回答をまとめました。

国際結婚手続きにはどのくらいの期間がかかる?

状況にもよりますが、書類が当事務所に到着してから結婚証明書の発行までには約3週間程度の期間がかかります。具体的には、婚姻要件具備証明書の発行には約1週間、依頼者様の婚姻届の手続きが数日で完了し、結婚証明書の発行にもさらに約1週間が必要です。

また、ベトナム人側の婚姻状況証明書などの書類を集めるのには約1か月程度かかることが予想されます。

ベトナム人婚約者が技能実習生でも手続きできる?

技能実習の残り期間が短い場合は、ベトナムに帰国してから手続きを進めていきます。もし帰国までに半年以上ある場合は、日本での滞在中に手続きを行うことも可能です。ただし、これはベトナムから必要な書類がすでに揃っている場合に限ります。ベトナムに行かないと発行できない書類が必要な場合は、一時帰国が必要となります。

ベトナム人婚約者がオーバーステイ状態でも手続きできる?

対応可能な場合もありますが、状況次第です。その後の在留資格手続きも含めて、個別に詳細をヒアリングしたうえで対応を考えていきます。

ベトナム側の書類には全て日本語訳が必要?

ベトナムの領事館に提出する書類であるため、ベトナム語のみでの受け付けとなっています。ただし、日本の婚姻届や在留資格手続きで提出するベトナム語書類については、日本語訳を添付しなければなりません。

日本人側が無職でほとんど収入がなくても手続きできる?

日本人側が無職であっても結婚手続き自体は可能です。ベトナムや日本では結婚手続き時に収入を問われることはありません。

しかし、ベトナム人配偶者が日本で暮らすために必要な在留資格を申請する際には、日本人配偶者の収入状況や納税記録が出入国在留管理庁の審査対象となります。これが不十分だと在留資格が許可されないことがあります。

なお、ベトナムで暮らす予定であれば、基本的にこうした点は問題とならないでしょう。

終わりに

配偶者ビザの申請では、結婚が偽装でなく真実であることと、婚姻が安定しており継続する見込みがあることを証明する必要があります。配偶者ビザの審査は厳格で、不十分な準備が原因で申請が不許可になることも少なくありません。

出入国在留管理庁は、入国管理法や関連通達、内規に基づいて審査を行います。このため、配偶者ビザの申請に精通した行政書士事務所は、法令を熟知しており申請書類を適切に準備することができるため、自分で申請するよりも許可される確率が高くなります。

ベトナム人との国際結婚の手続きにあたって、「必要な書類が分からない」「ベトナムに何度も渡航する余裕もない」「多忙で外務省、出入国在留管理局に出向く暇がない」といったお悩みを抱えている場合には、お気軽に「しらき行政書士事務所」までお問い合わせください。

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