外国人留学生を雇用するにはどうしたらよいのでしょうか?
留学ビザから就労ビザに変更する際の必要書類についても知りたいです。
留学生として日本で過ごし多くのことを学んできた外国人は、日本の文化に慣れているだけでなく、即戦力にもなる優秀な人材ばかり。
ぜひ正社員として雇用したいところですが、留学生を正社員として雇用するためには、ビザの変更手続き等が必要です。
この記事では、外国人留学生を雇用する方法と、留学ビザから就労ビザ変更の必要書類について解説しています。
- 留学ビザから就労ビザへの変更手続きが必要
- 日本人を雇用する場合と同様の手続きにプラスして、外国人雇用の手続きが必要
外国人留学生の雇用に関する手続きをスムーズに済ませたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
外国人留学生を雇用する方法
外国人留学生を雇用するには、日本人の雇用手続きにプラスして、外国人雇用に必要な手続きが必要となります。
在留カードや現在の状況を確認する
在留カードには、在留資格や期限が記載されています。
採用を決定する前に、在留カードは本物か、在留資格に偽りはないかチェックしましょう。
在留カードに留学と書いていても、学校を辞めている場合もあります。
在留カードを確認する時には、資格や期限をチェックするだけでなく、本当に今も学校に通っているのか確認しておきましょう。
雇用契約書・労働条件通知書の作成
雇用が決まったら、雇用契約書や労働条件通知書の作成が必要となります。
労働条件通知書は、明示すべき事項が決まっており交付が義務付けられていますが、通知書なので留学生側の署名はありません。
雇用契約書に関しては、交付は義務付けられていませんが、留学生側の署名があり、雇用条件を把握している証拠になります。
ビザ申請の時にはどちらか一方の書類を提出すればよいのですが、雇用契約書のほうが審査の上では有利となるため、雇用契約書も作成しておくのがおすすめです。
留学ビザから就労ビザに変更する
在留資格を変更するには「在留資格変更許可申請」が必要です。
基本的にビザ申請は、留学生本人が行います。
勤務予定先の会社側で、代わりに手続きすることはできません。
申請するのは留学生ですが、会社側で提出が必要な書類の中には、留学生に預けられない書類もありますよね。
そこで、留学生と会社の採用担当が一緒に入管に出向き、申請窓口で本人用書類と会社書類をそれぞれ提出するのが一般的です。
申請受付の開始時期は、申請先の出入国在留管理局によって異なります。
開始時期に合わせて双方が必要書類を揃えておかなければならないので、計画的な準備が必要です。
所属機関に関する届出を提出
外国人留学生を雇用してから14日以内に、「所属機関に関する届出」の提出が必要です。
「所属機関に関する届出」は、契約機関に関する届出と活動機関に関する届出に分けられます。
技人国ビザを申請する場合は、契約機関に関する届出を提出しましょう。
特定技能を申請する場合は、活動機関に関する届出を提出します。
他の在留資格について、どちらを提出すれば良いかは「所属機関等に関する届出手続(出入国在留管理庁)」を参考にしてください。
雇用保険加入の手続き
日本人を雇用する時と同様に、外国人留学生を雇用する場合でも、雇用保険加入の手続きが必要となります。
雇用保険の適用要件は以下の2つです。
① 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
② 31日以上の雇用見込みがあること
適用要件に当てはまる場合は、雇用保険加入の手続きが必要です。
雇用保険加入の手続きの際に提出する「雇用保険被保険者資格取得届 」は「外国人雇用状況の届出」という手続きを兼ねています。
雇用保険に加入しない場合は、「外国人雇用状況の届出」が提出されていない状態となるため、「中長期在留者の受け入れに関する届出」が別途必要です。
健康保険・厚生年金加入の手続き
健康保険や厚生年金についても、日本人を雇用する場合と同様に加入の手続きが必要です。
会社側が「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出します。
留学ビザから就労ビザに変更するための必要書類
外国人留学生を雇用したいと思った時に一番ネックとなるのが、留学ビザから就労ビザへの変更。
留学生本人にも企業側にも準備すべき必要書類があるだけでなく、企業の規模によって必要書類が変わってくるのです。
留学ビザから就労ビザ(技人国ビザ)に変更するための必要書類について詳しく解説します。
企業が準備する必要書類
企業が準備する書類は、企業のカテゴリーによって変わります。
入国管理局では、外国人雇用を行う企業や事業主に対して「カテゴリー分け」が行われているのです。
カテゴリーは1から4まであり、数字が小さいほど信頼性が高く、審査が通りやすくなっています。
カテゴリー1(上場企業など)やカテゴリー2(前年分の給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上ある企業など)に当てはまる企業は、カテゴリーを証明する書類のみが必要となります。
カテゴリー3は、前年分の給与所得の源泉徴収票等が提出されており、源泉徴収税額が1,000万円未満の企業や個人が当てはまります。
必要となるのは以下の書類です。
- 登記事項証明書
- 事業内容を明らかにする資料
- 直近の年度の決算文書の写し
- 事業計画書(新規事業の場合)
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
カテゴリー4は、設立して間もない企業です。
必要書類となるのは以下の書類です。
- 登記事項証明書
- 事業内容を明らかにする資料
- 直近の年度の決算文書の写し
- 事業計画書(新規事業の場合)
- 給与支払事務所等の開設届出書の写し
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の写し
個人事業主が外国人を雇用する場合、主にカテゴリー3や4に当てはまりますが、必要書類は異なります。
個人事業主の外国人雇用については「個人事業主でも外国人を雇用できる?就労ビザ申請の注意点とコツ」の記事で詳しく解説しています。
留学生が準備する必要書類
就労ビザの種類や職務内容によって、細かい部分は変わってきますが、留学生が準備する代表的な書類は以下のとおりです。
- 在留カード
- パスポート
- 学校の成績証明
- 卒業見込み証明・最終学歴の卒業証明書の写し
- 資格・免許や検定・試験等の合格証書の写し
- 顔写真 写真(縦4cm×横3cm)
雇用先の職務内容と、留学生の学歴や専攻が一致していることを証明する書類の提出が必要となります。
その他必要な書類
- 雇用契約書もしくは労働条件通知書
- 採用理由書
留学生との契約の際に作成した、雇用契約書もしくは労働条件通知書の提出も必要となります。
労働条件通知書と雇用契約書のどちらか一方の提出で構いませんが、留学生が雇用条件を理解して契約を結んだ証拠となる「雇用契約書」の提出がおすすめです。
入管のウェブサイトには必要書類となっていませんが、採用の経緯や業務内容を明記した「採用理由書」を作成しておくと、審査が有利になります。
外国人留学生を雇用する時の注意点
留学ビザから就労ビザへの変更は、申請したからといって必ず許可となるわけではありません。
ここでは、外国人留学生を雇用する時に注意して欲しいポイントを解説していきます。
就労ビザ申請の時期に注意する
就労ビザ申請は、複数の書類を準備する必要があるだけでなく、申請期間も限られています。
東京・大阪などの都市圏では12月から、四国の高松入管の場合は1月に入ってからなど、申請の期間は地域によって違いがあります。事前に提出先への確認が必要です。
申請の結果が出るまでには、2週間~1ヶ月はかかると言われています。
4月の入社に就労ビザの取得が間に合うよう、ビザ申請は計画的に進めていきましょう。
就労ビザ申請の時期については「留学生を雇用する場合、いつビザ変更手続きをするの?」で詳しく解説しています。
学歴や専攻が一致していないと就労ビザは取得できない
就労ビザを申請する場合は、学歴についての条件が決まっており、職務内容と専攻が一致している必要があります。
学歴は、大学・短大卒、日本の専門学校卒が条件です。
日本語学校卒では、就労ビザは取得できません。
職務内容と専攻が一致している必要がありますが、大学や短大の場合は比較的緩やかな判断が行われます。
就労ビザの学歴や専攻に関して詳しくは「留学生を雇用する場合~学歴や専攻は就労ビザの重要なポイントです~」で解説しています。
【まとめ】外国人留学生を雇用するには早めの準備を
外国人留学生を雇用するには、日本人を正社員として雇用する手続きにプラスして、ビザの変更が必要となります。
ビザ変更は手続きが複雑なので、必要書類や要件、時期を確認して早めに動いておかないと、不許可となる可能性も。
たとえ入社が決まっていたとしても、就労ビザが取得できなければ、留学生が日本にいられなくなる場合もあるのです。
外国人雇用において、就労ビザの申請に不安がある場合は、手続きを行政書士に任せる選択肢もあります。
しらき行政書士事務所は、外国人のビザ手続きの専門家です。
留学から就労ビザへの申請手続き、新規呼び寄せでの就労ビザ取得、転職時のビザ申請手続きなど、様々なケースの就労ビザ申請をサポートしている行政書士が親身になって対応します。