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経営管理ビザを取得して地方部で起業する

昨今、政府や地方公共団体による制度が設けられたこともあり、地方での起業に注目が集まっています。日本人だけでなく外国人も、経営管理ビザを取得したうえで地方部で起業するケースが増えている状況です。

そこで本記事では、経営管理ビザを取得して地方部で起業するメリットや方法、経営管理ビザ取得が難しい場合の対処法を中心に解説します。

経営管理ビザ申請にみられる都市部と地方部の差異

外国人が日本で起業を行う場合、一般的には経営管理ビザを取得することになります。

この経営管理ビザの申請ですが、地方部の出入国在留管理庁(入管)に対して申請を行う方が、比較的短期間で結果が出やすいという傾向があります。専門家としてこれまで複数のケースで在留資格(ビザ)の申請をしてきた私の経験からお伝えしますと、およそ1〜3か月程度で結果が出ることが多いです。

これに対して、都市部の入管(特に東京)での申請を行う場合、結果が出るまで半年以上かることも多く、新規の申請であれば1年近くかかるばあいもあります。

経営管理ビザには、会社設立や事務所を賃貸したうえで申請しなければならないという特徴があります。在留資格の許可が下りるまでは事業活動が行えないため、審査期間が長引くほど、事業へのマイナスの影響が大きくなってしまうのです。

素早く審査を済ませて、スムーズに事業をスタートさせるためにも、外国人の方にとって都市部ではなく地方部での起業には大きなメリットがあります。

経営管理ビザを取得して地方部で起業するメリット

在留資格の取得手続きの側面以外にも、外国人の方が経営管理ビザを取得して地方部で起業することには、さまざまなメリットがあります。代表的なメリットは、以下のとおりです。

  • 家賃(固定費)や生活費を抑えられる
  • 地域によっては補助金や助成金制度を活用できる
  • 通勤ラッシュから解放される
  • 同業他社の少ない環境で有利に事業を進められる 

起業するためには、オフィスの契約・賃貸費、通信設備費、従業員の給料など、さまざまな費用が発生します。準備のための資金がネックとなって一歩踏み出せない方や起業自体をあきらめてしまう方も多いです。

業種業態にもよりますが、地方で起業する場合には東京圏での起業に比べて、主に土地と人に関わる費用を抑えられます。ランニングコストを抑えられることは、起業時だけでなく中長期的な観点で利益を得ていくうえでも大きなメリットでしょう。

また、地方で起業すると、都会とは異なり競争相手が少ないため、ビジネスを展開しやすくなります。都会では同業他社が多く、競争が激しい環境がありますが、地方ではそのような競合が少ないため、営業活動がしやすくなり、新規顧客を獲得しやすい可能性が高まります。

同業他社が少ない地方では、その事業分野に興味を持つ優秀な人材が集まりやすい傾向があります。特定の事業に関心を持つ人材が、自分のスキルや興味を生かせる環境を求めて、積極的に応募してくることが期待できます。

経営管理ビザを取得して地方部で起業するデメリット

地方部での起業にはメリットだけでなくデメリットもあるため、双方を知ったうえで検討することが大切です。外国人の方が経営管理ビザを取得して地方部で起業するデメリットは、主に以下のとおりです。

  • 情報の格差がある
  • 自動車が必要になる 

地方では、公共交通機関の利便性が都会と比べて低いことが一つの特徴です。都会では、電車やバスなどの公共交通機関が充実しており移動が容易ですが、地方では電車の路線が少なかったり、バスの本数が1時間に1本程度と少なかったりする地域もあります。そのため、地方での起業では自動車を利用する必要があることが多く、移動の主要な手段となります。

オフィスの賃料は都会に比べて安い場合が多いですが、地方での起業では自動車に関連するコストを考慮しなければなりません。自動車を準備する場合、購入費用、燃料費、保険料などが、事業に必要な費用として発生します。

とはいえ、IT分野など業種によっては、リモートワークを駆使することで都市部でも地方部でも発生するコストに大きな違いが生まれず、地方部で起業するデメリットが小さいこともあります。

外国人が日本で起業する流れ・方法

ここで、参考情報として外国人が日本で起業する際の流れ・方法を簡単にご紹介します。

  1. 事業計画書と定款の作成
  2. 出資金の払い込み
  3. 会社の設立登記の実施
  4. 在留資格「経営管理」の取得

各ステップでやるべきことを順番に解説しますので、起業を検討する際にお役立てください。

事業計画書と定款の作成

経営管理の在留資格を取得するためには、資本金の最低額や事業所の設置など、いくつかの要件を満たす必要があります。

また、事業計画書の提出が必須です。この計画書には、実施する事業の内容や予測される収益などを詳細に記載することが求められます。

国籍に関係なく、日本で会社を設立するには、定款の作成も必要です。定款は会社の名称や事業目的などを定めた重要な文書であり、株式会社を設立する場合は公証人による認証が必要です。定款には事業所の所在地を記載するため、書類作成を開始すると同時に事業所の場所を決めることも大切です。

出資金の払い込み

日本での会社設立には、出資金の払込が必要です。支払いが完了したことを証明するため、払込証明書を作成しておくことが大切です。

会社設立前なので、出資金は発起人が指定する個人の銀行口座に払い込むことが一般的です。

しかし、外国人が海外に居住している場合、日本での銀行口座開設が難しいため、在留資格を持つ外国人や日本人を発起人に加える必要があります。

また、ビザの申請時には出資金の送金元について確認されることもあるので、関連する書類や資料はしっかりと保管しておきましょう。

会社の設立登記の実施

会社設立のための書類作成や資本金の払込が済んだら、次のステップは法務局での会社設立登記です。登記を行うことで、1週間から10日程度で会社が正式に設立されます。

設立登記が完了したら、同じ法務局で「履歴事項全部証明書」を取得しましょう。この証明書は、会社の銀行口座を開設する際や「経営・管理」の在留資格を申請する際に必要となります。

在留資格「経営管理」の取得

会社を設立し、事務所の契約や事業に必要な準備が整ったら、いよいよ経営管理ビザの申請です。

申請中は事業活動が行えませんが、事業の準備を行う事は可能です。ウェブサイトの準備や案内用のチラシ作成などを行い、ビザの許可後にすぐ事業が始められるように準備を整えておきましょう

経営管理ビザが許可されやすい事例

一般的に、経営管理ビザが許可されやすい事例としまして、以下のような傾向があります。

特徴 補足
本国で社長をしており、会社経営を行っている 日本進出の目的が明確なので、経営管理ビザが許可されやすい。
日本企業と今まで取引を行っている 取引先の要望で日本企業との取引の必要性から日本進出を決めるパターンが多く、経営管理ビザが許可されやすい。
起業時の年齢が20~50代 経営管理ビザを取得する場合、一般的には働き盛りの方が多い。例えば75歳の外国人が経営管理ビザを申請する場合、日本にいる子供が親を扶養する目的で申請している疑いがかかるため、しっかりとした事業計画や実績を立証しないと許可を得にくい。
借入金はなく、すべて自己資金で出資 借入金がある場合、「その資金は本当に事業に使われるのか?」「会社設立後、すぐに返したり別の目的の資金として使ったりするのではないか?」という疑問を持たれる傾向がある。自己資金をしっかり貯蓄している場合、経営管理ビザは許可されやすい。
日本での留学歴や日本語能力がある 日本での留学歴がある人は、日本での過去の在留中にきちんと在留していたという実績をプラスに評価される。日本語能力がある人は、日本との取引や日本でビジネスできる基本的な能力が備わっているとされて、経営管理ビザは許可されやすい。

経営管理ビザ取得が難しい場合の対処法

地方部での起業を目指したとしても、必ずしも経営管理ビザを取得できるとは限りません。

経営管理ビザの場合、申請する人に対する職歴や学歴の要件は緩いのですが、事業そのものに対する審査はかなり厳しいものとなっています。

「これさえしておけば経営管理ビザが許可になる」といった明確な基準も存在しないため、自身の事業を始める準備をしながら進めるという事は非常に難しいでしょう。

こうした場合に効果的な対処法の一つとして検討できるのが、スタートアップビザの取得です。

スタートアップビザとは、正式名称を「外国人起業活動促進事業」といい、日本における起業準備を希望する外国人起業家の在留を認める在留資格のことです。

スタートアップビザを取得した外国人は、入国および在留が認められると最長で1年間住所登録ができ、銀行口座を取得したり、オフィスの賃貸契約をおこなったりといった起業準備ができるようになります。

スタートアップビザの取得にあたっては、一部地域で設けられている国家戦略特区における「外国人創業活動促進事業」もしくは、経済産業省による「外国人起業活動促進事業に関する告示」のいずれかを利用します。

外国人創業人材受入促進事業によって申請が可能となる自治体には、以下のようなものが挙げられます(2024年1月時点)。

東京都、神奈川県、成田市、京都府、兵庫県、新潟市、福岡市、北九州市、仙台市、愛知県、広島県、今治市、つくば市、大阪府、加賀市

 また、外国人起業活動促進事業に関する告示によって申請が可能となる自治体には、以下のようなものが挙げられます(2024年1月時点)。

福岡市、愛知県、岐阜県、神戸市、大阪市、三重県、北海道、仙台市、横浜市、茨城県、新潟県、大分県、京都府、兵庫県、渋谷区、浜松市、加賀市、富山県

なお、スタートアップビザは、あくまでも日本における起業準備を前提とする在留資格です。認められるのは「事務所の選定」「銀行口座の開設」「市場調査」「専門家との打ち合わせ」といった会社設立の準備に関する活動に限られる点に注意しましょう。

終わりに

経営管理ビザは、地方部の出入国在留管理庁に対して申請を行う方が、比較的短期間で結果が出やすいです。また、地方での起業には、以下のようなメリットもあります。

  • 家賃(固定費)や生活費を抑えられる
  • 地域によっては補助金や助成金制度を活用できる
  • 通勤ラッシュから解放される
  • 同業他社の少ない環境で有利に事業を進められる

確かに地方での企業にはデメリットもあるものの、リモートワークが可能な業種であれば克服できるケースが多いです。

日本での起業をお考えの外国人の方としては、スタートアップビザの制度もうまく活用しながら、効果的に事業の準備を進めていくことが望ましいでしょう。

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