外国人をアルバイト雇用したい!手続きの方法や注意点は?
外国人をアルバイトとして雇用する場合、日本人とほぼ同じ手続きで雇用できますが、確認しなくてはならないポイントがあります。
採用前に確認しておかないと、不法就労となり罰せられることもあるので注意が必要です。
この記事では、外国人のアルバイト雇用の手続きや注意点について解説します。
- 採用前に在留資格を確認
- 採用後は外国人雇用状況の届出を提出
アルバイトから正社員へのフルタイム雇用に関しても、合わせて紹介していますよ。
外国人のアルバイト雇用に関する手続きをスムーズに済ませたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
外国人アルバイトの雇用が可能な在留資格の種類
外国人をアルバイトとして雇用するために、まずは在留資格を確認する必要があります。
在留資格によって、アルバイトとして雇用可能かどうかが決まるからです。
アルバイトとして雇用できる在留資格は、次のようなものがあります。
- 就労ビザ
- 留学
- 特定活動・家族滞在・文化活動
- 身分系の在留資格(定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者)
在留資格と異なる種類のアルバイトを行う場合には、必ず「資格外活動許可」が必要となります。
それぞれの在留資格について詳しく解説していきましょう。
就労ビザ
技人国ビザなどを取得して特定の業務に従事している外国人は、アルバイトとして雇用できる場合があります。
取得しているビザの職務と異なる業種の場合は「資格外活動許可」が必要です。
ただし、技人国ビザの「資格外活動許可」では、単純作業(コンビニや飲食店でのアルバイトなど)はできません。
就労ビザで行っている業務を他の場所で行う際に、別の在留資格に該当する場合には、アルバイトとして資格外活動ができるのです。
例えば、在留資格「教育」で中学校の英語講師で来ている人が、民間の英会話教室で週1~2回働く場合。
業務内容は同じでも在留資格「技術・人文知識・国際業務」の活動となるので、資格外活動許可(個別許可)を取得してアルバイトします。
技人国ビザで働いている先の企業が、副業としてのアルバイトを認めているかどうかも重要なポイントになります。
技人国ビザで働いている本業を妨げないようにしなくてはいけません。
留学
留学ビザの場合は、就労そのものが認められていないので、資格外活動許可(包括許可)が必要です。
資格外活動許可には、「包括許可」と「個別許可」があります。
包括許可の場合、アルバイト先が変わっても許可を取り直す必要がありません。
留学生の労働時間は、原則週28時間以内。
長期休みの期間のみ、週40時間以内です。
労働時間を超過した場合、留学生と雇用側の両方が罰を受ける形となります。
他社でのアルバイトの時間も合わせて週28時間となるので、注意が必要です。
さらに、留学生には禁止されている業種もあります。
風俗営業に当てはまる、パチンコ、ゲームセンター、スナックなどでは、配膳や清掃の仕事もできません。
書類選考や面接時に確認しておきたいのは、以下の4つです。
- 学生証
- パスポート
- 在留カード
- 資格外活動許可証
在留カードに留学と書いていても、学校を辞めている場合もあります。
在留カードや資格外活動許可証を確認する時には、期限をチェックするだけでなく、本当に今も学校に通っているのか確認しておきましょう。
特定活動・家族滞在・文化活動
特定活動・家族滞在・文化活動では、就労そのものが認められていないので、資格外活動許可が必要となります。
家族滞在の場合、資格外活動許可は「包括許可」となるので、アルバイト先が変わっても許可を取り直す必要がありません。
家族滞在の資格外活動許可では、労働時間が原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除くという条件があることに注意しましょう。
特定活動や文化活動の場合は「個別許可」となるので、アルバイト先が変わる度に資格外活動許可を取り直す必要があります。
前のアルバイト先で資格外活動許可を取得しているからといって、すぐに雇用できる訳でなないので注意しましょう。
身分系の在留資格
定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者など、身分系の在留資格を取得している外国人をアルバイトとして雇用するならば、資格外活動許可は必要ありません。
日本人のアルバイトと同じ条件で雇用できます。
外国人のアルバイト雇用の手続きと必要書類
外国人のアルバイト雇用の手続きの流れは、基本的には日本人のアルバイト雇用の流れと変わりありません。
ただし、確認するべきものや追加の提出書類、注意点があります。
外国人のアルバイト雇用の手続きについて、詳しく解説していきます。
外国人アルバイトの労働条件を決める
外国人アルバイトを雇用すると決めたら、まずは労働条件を決めていきます。
具体的には、絶対的明示事項と呼ばれている項目の決定が必要です。
① 労働契約期間
② 就業の場所や従事する業務内容
③ 始業時刻・終業時刻
④ 所定労働時間を超える労働時間の有無
⑤ 休日や休暇、休憩時間
⑥ 賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締切及び支払時期に関する事項
⑦ 退職に関する事項
賃金に関しては、日本人を雇用する場合と変わらないようにします。
最低賃金を超える必要があるだけでなく、他の日本人と変わらない賃金設定が必要です。
労働時間に関しては、留学生や家族滞在の場合は週28時間以内と決められています。
【書類選考・面接時】在留資格の確認をする
在留資格によっては、アルバイトとして雇用するために「資格外活動許可」が必要となる場合もあります。
書類選考や面接時には、パスポートや在留カードによる在留資格の確認が必要です。
さらに、在留カードに資格が書かれていても、今現在その資格を満たしているかどうかは念入りにチェックする必要があります。
留学生の場合、在留資格が書かれていても、退学している可能性があるのです。
就労ビザの場合、退職したからといってすぐに就労ビザが取り消される訳ではありませんが、退職後のアルバイトは原則禁止となっています。
在留資格と現在の状況を合わせて確認しましょう。
必要書類の作成
アルバイト雇用に必須の書類は、以下の3つです。
- 労働条件通知書兼雇用契約書
- 労働保険関係成立届
- 労働保険概算保険料申告書
必須ではありませんが、必要となるのは以下の3つ。
- 身元保証書
- 交通費・通勤経路申請書
- 給与振込口座の記入書類
書類に関しては、日本人でも外国人でも同じものを用意します。
外国人アルバイトを雇用する際には、フリガナをつける・わかりやすい日本語で説明するなどのフォローが必要です。
外国人雇用状況の届出を提出
外国人アルバイトを雇用する場合は、提出書類が追加されます。
翌月末日までに、外国人雇用状況の届出をハローワークに提出する必要があるのです。
外国人雇用状況の届出の提出方法は2種類あります。
- ハローワークに直接提出する
- オンラインで提出する
直接提出する場合の書類については、ハローワークで受け取るか、厚生労働省のホームページからダウンロード可能です。
外国人アルバイト雇用の注意点
外国人アルバイトを雇用する際に、注意して欲しいポイントを紹介します。
外国人の雇用でも日本の法律が適用される
外国人アルバイトを雇用する場合でも、日本人アルバイトを雇用する場合と同様に、日本の法律が適用されます。
日本人を雇用する場合と同等の賃金にする、最低賃金を守るなどの対応が必要です。
国籍や人種によって条件が変わるなどの差別があってはいけません。
基本は日本人を雇用する場合と同じ条件で雇用し、外国人の場合は、追加で守らなくてはいけないルールがあると考えればよいでしょう。
単純労働は包括許可の資格外活動で認められる
資格外活動には「包括許可」と「個別許可」があり、包括許可の場合は単純労働が可能となります。
一般的に包括許可に該当するのが、留学と家族滞在の在留資格です。
単純労働では、以下のような業務が可能となります。
- 単純作業
- 訓練で習得する業務
- マニュアルがあれば遂行可能な業務
よって、飲食店での接客や配膳、コンビニやスーパーのレジ、配送センターでの仕分け業務などに従事可能です。
採用時には日本語のフォローが必要
採用の書類やマニュアルなどには、日本人にとっても難しい言葉が並んでいることがあります。
面接の場面では、外国人にはわかりにくい日本語が使われる可能性もありますよね。
外国人のアルバイト面接には、できるだけわかりやすい日本語を使う必要があります。
採用書類の作成には、フリガナを振るなどの工夫も必要です。
採用後に使用するマニュアルにもフリガナや図解などの工夫があると、外国人が働きやすい環境が作れます。
採用後は孤立しないようフォローする
外国人アルバイトは、採用してからのフォローも肝心です。
せっかく優秀な外国人を雇用しても、他の社員やアルバイトとの関係が上手くいかず、孤立して辞めてしまうこともあります。
外国人アルバイトの業務内容だけでなく、同じ職場で働くメンバーとの関係性も重要です。
定期的な声がけなどのフォローで、外国人が孤立しないように注意を払いましょう。
外国人をアルバイトからフルタイム雇用にするには
留学生をアルバイト雇用した企業では、卒業した留学生を正社員としてフルタイム雇用することも珍しくありません。
しかし、卒業が近づいてきてから正社員として雇用したいと思っても、職種や学歴の面で就労ビザが取得できない場合も多くあります。
留学生は、日本人以上に頑張る人やまじめで責任感が強い人が多く、コミュニケーションも問題ない人がほとんどです。
留学生をアルバイトとして雇用するなら、採用の段階で、卒業後の正社員雇用も検討しておくのがおすすめですよ。
職種や学歴の面で就労ビザの要件を満たしているなら、正社員として雇用するために必要な就労ビザの取得が可能となります。
ただし、早めに動かないと入社に間に合わないことも。
留学ビザから就労ビザへの変更時期については、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
留学ビザから就労ビザへの変更は、職種や学歴の面だけでなく、時期的な部分に関しても計画的なビザ変更申請が重要となります。
手続きは非常に複雑なものとなるので、優秀な外国人を正社員として確実に雇用したいならば、専門家に相談してみるのも一つの方法です。
【まとめ】外国人のアルバイト雇用は在留資格を確認しよう
外国人をアルバイト雇用するには、日本人を雇用する手続きに加えて、以下の2点が必要となります。
- 在留資格の確認
- 外国人雇用状況の届出の提出
在留資格によって、職種や時間の制限があり、「資格外活動許可」が必要となる場合もあります。
在留資格はカードを見ることで確認できますが、在留カードに書かれている在留資格を失っている場合もあるので、注意が必要です。
在留資格の確認をする際は、カードの内容だけでなく、現在の状況や今後の予定について詳しく聞きましょう。
外国人雇用状況の届出は、翌月末までに忘れずに行います。
適切な手続きで、即戦力となる外国人のアルバイト雇用を進めていきましょう。
アルバイトでよく働いてくれる外国人を正社員としてフルタイム雇用するなら、就労ビザの取得が必要となります。
就労ビザの申請書類の準備や手続きの時期を誤ると、入社できなくなる可能性もあるので注意が必要です。