合同会社で外国人を雇用して、業績を上げていきたい!
就労ビザの申請は、どんなことに注意したらいい?
株式会社より簡単に設立できる合同会社でも、外国人を雇用できるケースがあります。
しかし、合同会社の規模に合わせて雇用するためのポイントを押さえて就労ビザを申請しないと、許可されない可能性があるのです。
この記事では、合同会社で外国人を雇用する方法と、就労ビザ申請の注意点とコツについて解説しています。
- 合同会社が外国人を雇用する方法は4パターン
- 合同会社が外国人を雇用する場合、会社規模によっては就労ビザの審査が厳しく必要書類も多くなる
- ビザ申請をスムーズに進めるには、審査のポイントを押さえる必要がある
合同会社の外国人雇用に関する手続きをスムーズに済ませたいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
合同会社で外国人を雇用する方法は4パターン
合同会社で外国人を雇用するには、4つの方法があります。
- 「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得済みの外国人を雇用する
- 他のビザを取得済みの外国人のビザを変更して雇用する
- 海外在住の外国人を呼び寄せて雇用する
- 就労制限のないビザを持っている外国人を雇用する
基本的には、就労ビザの申請や変更が必要です。
そして、申請や変更に必要となる書類は、合同会社が属するカテゴリー(会社の規模や源泉徴収額によって区分されている)によって変わってきますよ。
まずは、それぞれの雇用方法について解説していきます。
1.「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得済みの外国人を雇用する
他の企業で「技術・人文知識・国際業務」ビザ(技人国ビザ)を取得して働いている外国人が合同会社に転職する場合は、そのままのビザで雇用できる場合もあります。
そのままのビザで雇用できるかどうかに大きく関わってくるのは、職務内容です。
- 職務内容が変わらない場合
- 職務内容が技人国ビザの職務内容ではなくなる場合
- 職務内容は変わるが、技人国ビザの職務内容である場合
3パターンについて、雇用できる条件を解説します。
職務内容が変わらない場合
雇用したい外国人の学歴・職歴と、合同会社で雇用する際の職務内容が同じ場合には、そのままのビザを使って雇用できます。
技人国ビザで「通訳」として仕事をしていた人が、合同会社でも「通訳」として働くならば、同じ「通訳」の仕事なので問題なく働ける場合がほとんどです。
職務内容は変わるが、技人国ビザの職務の範囲内である場合
合同会社での職務内容が、技人国ビザの職務の範囲内であれば、そのままのビザで雇用できる可能性は高くなります。
前の会社では技人国ビザで「通訳」をしていた人が、合同会社で「エンジニア」として働く場合には、ビザの変更は必要ありません。
「エンジニア」も、技人国ビザの職務内容であるためです。
ただし、業務内容が違うので、行政の証明となる「就労資格証明書」を取得しておいたほうが安心ですよ。
※「就労資格証明書」については別の記事で詳しく解説していきます。
職務内容が技人国ビザの職務内容ではなくなる場合
合同会社での職務内容が、技人国ビザの職務内容でない場合には、就労ビザの変更が必要です。
たとえば、転職前の会社では「技人国ビザ」でコンサルティング業務を行っていた外国人に、経営に参加してもらう場合。
技人国ビザから、「経営・管理ビザ」に在留資格を変更する必要があります。
ただし、経営・管理ビザは取得の難易度が高い上に、合同会社が属するカテゴリー(規模や源泉徴収額で分けられている)によって必要な書類が変わるので注意が必要です。
2.他のビザを取得済みの外国人のビザを変更して雇用する
留学ビザや家族滞在ビザを取得して、既に日本に住んでいる外国人を雇用する場合は、就労ビザへ変更して雇用します。
新しくビザを申請するのではなく、在留資格を切り替える手続きが必要です。
在留資格を技人国ビザに切り替えるためには、留学生が準備する書類の他に、企業側で準備しなくてはならない書類もあります。
技人国ビザに変更する場合も、合同会社が属するカテゴリー(規模や源泉徴収額で分けられている)によって必要な書類が変わるので注意が必要です。
3.海外在住の外国人を呼び寄せて雇用する
海外在住の大学生や、海外で大学を卒業した外国人を呼び寄せる場合には、新たに就労ビザを取得する必要があります。
合同会社が申請代理人として「在留資格認定証明書」を申請する手続きが必要です。
在留資格認定証明書の交付申請を行う場合も、合同会社が属するカテゴリー(規模や源泉徴収額で分けられている)によって必要な書類が変わります。
4.就労制限のないビザを持っている外国人を雇用する
合同会社が外国人を雇用する場合でも、外国人が就労制限のないビザを取得済みならば、学歴や職歴、職種に関わらず採用できます。
就労制限のないビザは以下の4種類です。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
合同会社が外国人雇用する時の就労ビザ申請の注意点
合同会社で外国人を雇用するために就労ビザを申請・変更する時の注意点を紹介します。
合同会社のカテゴリーによって必要書類が変わる
入国管理局では、外国人雇用を行う企業や事業主に対して「カテゴリー分け」が行われています。
カテゴリーは1から4まであり、数字が小さいほど信頼性が高く、審査が通りやすいです。
合同会社は、カテゴリー1から4まで、どのカテゴリーになる可能性もあります。
合同会社の設立期間や前年の源泉徴収額を参考に、自分の会社のカテゴリーを判断し、カテゴリーに合わせて書類を用意する必要があるのです。
合同会社がカテゴリー4になるケース
合同会社を設立したばかりで、1年経過していない場合です。
カテゴリー4は最も信頼性が低いので、提出書類が多くなり、審査が厳しくなります。
合同会社が用意する書類は、以下のとおりです。
- 登記事項証明書
- 事業内容を明らかにする資料
- 直近の年度の決算文書の写し
- 事業計画書(新規事業の場合)
- 給与支払事務所等の開設届出書の写し
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の写し
合同会社がカテゴリー3になるケース
2年目からは、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出できるのでカテゴリー3に分類されます。
合同会社が用意する必要書類は、カテゴリー4よりも少なくなります。
- 登記事項証明書
- 事業内容を明らかにする資料
- 直近の年度の決算文書の写し
- 事業計画書(新規事業の場合)
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
合同会社がカテゴリー2になるケース
合同会社がカテゴリー2となるのは、前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある場合です。
カテゴリー2からは必要書類が少なくなり、審査もカテゴリー3や4ほど厳しくはありません。
カテゴリー2の合同会社が用意する書類は、以下のとおりです。
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
- 在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)
合同会社がカテゴリー1になるケース
合同会社がカテゴリー1になるのは、イノベーション創出企業や一定の条件を満たす企業に当てはまる場合です。
※一定の条件を満たす企業については、出入国在留管理庁のサイトから一定の条件を満たす企業等について(カテゴリー1(9)関係)をご確認ください。
必要書類は、カテゴリー1の企業であることを証明する文書のみとなります。
- 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(例えば、補助金交付決定通知書の写し)
- 上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例えば、認定証等の写し)
経営管理ビザでの雇用は要件が厳しい
合同会社において、経営管理ビザでの雇用はあまりおすすめできません。
たしかに、合同会社で外国人を雇用する際には、経営管理ビザでの雇用も可能ではあります。
しかし、すでにある合同会社の役員として外国人を受け入れる場合、それなりの規模や複数の事業を営んでいる会社でなければ、ビザの取得は難しいのが現実です。
すでにある会社で、事業をサポートする立場で外国人を呼ぶ場合は「管理ビザ」の分類にあたります。
合同会社の場合は役員=出資者となるため、管理ビザの場合でも出資が必要です。経営・管理に関して3年の経験も必要となります。
さらに、複数の役員がいる会社で経営管理ビザを取得するには、実務レベルでは従業員が数十名近くいる会社の規模が要求されます。また、複数の役員が必要な理由はかなり細かく審査されるのです。
たとえば、従業員3人の会社に代表者がいて、そこに外国人の役員を呼ぶとします。
すると、「そんな小さい会社で何で役員が2人もいるのか?」「役員ではなく、技人国ビザで呼べば十分じゃないのか?」と疑問を持たれ、ビザは許可されません。
一方で、従業員20名の会社で、車の輸出と飲食事業を行っている会社の場合、飲食事業は日本人の役員、車の輸出は外国人役員というように、事業ごとに管理者を別にするというのであれば、通る可能性はあります。
役員の肩書がつかず、部長や執行役員レベルの立場の人であれば「技術・人文知識・国際業務ビザ」でも行える業務範囲です。
色々と制約のある経営管理ビザよりも、就労ビザ(技人国)で呼ぶのが望ましいでしょう。
合同会社で外国人雇用の就労ビザ申請をスムーズに進めるコツ
合同会社で外国人を雇用する場合、どんな点に気を付けて就労ビザを申請すればよいのでしょうか。ポイントを解説していきます。
外国人でなければいけない理由をアピール
合同会社の事業内容について、雇用したい外国人が持っているスキルの必要性の掲示や、事業にとってプラスになる証拠を集めて申請します。
なぜ外国人を雇用しなければいけないのか、外国人であることでどんなメリットがあるのかをしっかりとアピールしましょう。
合同会社として既に動いている状態での申請となるため、外国人雇用の理由やメリットをアピールできないと、不許可となる可能性があります。
業務量を明確にする
外国人に業務を任せたくても、十分な業務量がなければ、雇用の必要性がないとされてしまいます。
すでに合同会社として業務が動いているのならば、どのくらいの業務を外国人に任せる予定なのかを具体的に説明できるはずです。
外国人を雇用した場合の業務量についても、提出書類に明記しておきましょう。
事務所を構える
合同会社では事務所を構えていない場合もありますが、事務所を構えていることは、外国人雇用の審査を通過するための必須条件です。
事務所を構えている証拠として、申請時には、以下の書類や写真も一緒に申請しましょう。
- 事務所の賃貸借契約書のコピー
- 事務所の写真(外観、入口、室内、看板など)
パンフレットやWebサイトを作成しておく
合同会社の実在性を証明するためには、事務所を構えるだけでなくパンフレットやWebサイトの作成も必要です。
会社概要では、会社の社名や住所、責任者名、設立日などの情報を記載します。
取り扱っている商品やサービス、連絡先についても明記しましょう。
他にも、取引先企業やお客様の声などについて掲載することで、実体のある事業としてアピール可能です。
【まとめ】合同会社で外国人を雇用するなら
合同会社で外国人を雇用する場合でも、就労ビザの申請や他のビザからの変更が必要です。
合同会社で外国人を雇用する場合、すでに事業が始まっているところに外国人が参加する形となるので、申請書類の作成はスムーズに進むかもしれません。
ただし、会社のカテゴリーによって提出書類や審査の厳しさは決まります。
カテゴリー4にあたる新規合同会社の場合や、前年度の源泉徴収額が1,000万以下のカテゴリー3にあたる合同会社については、提出書類も多くなっているので注意が必要です。
- 外国人でなければいけない理由をアピール
- 業務量を明確にする
- 事務所を構える
- パンフレットやWebサイトを作成しておく
- 専門家への依頼を検討する