永住許可は一度取得すれば、その後のビザ更新は必要なくなり、ずっと日本に住み続けることができます。他のビザと異なり、日本でできる活動に関しても制限がなく、ほぼ日本人と同じような感覚で日本に生活ができるビザです。
目次
永住許可は取り消されることがある
しかし、永住許可を取得した後でもその許可が取り消される場合があります。
実際に永住許可が取り消されるのはどういったときかを説明します。
犯罪をおこなったとき
日本国内で犯罪を行った場合、その犯罪の種類によっては永住許可が取り消されます。
永住許可を取得したとはいえ、日本国籍ではないため、特定の犯罪を行った場合は日本国外への退去を強制される「退去強制処分」の対象となります。
該当する犯罪は
- 無期または1年を超える懲役・禁錮に処された場合
- 売春に関連する業務に従事した場合
- 麻薬等の薬物違反で有罪判決を受けた場合
などがあります。
これらの犯罪を行い、退去強制処分が下された場合は永住権も取り消されます。なお、永住許可取得後に帰化手続きを行い、すでに日本国籍を取得している方は退去強制処分の対象者とはなりません。
再入国許可が切れたとき
永住許可を持っている人でも、日本から海外に出国する際は「再入国許可」が必要です。この許可を得ずに出国した場合は永住者としての資格を失います。また、再入国許可を受けた場合でもその有効期間内に日本に戻ってこなければ永住者としての資格を失ってしまいます。
再入国許可にはみなし再入国許可と通常の再入国許可の2種類があります。みなし再入国許可は出国時に空港で簡単な手続きすればよいので便利ですが、有効期間が1年と短くなります。
一方、通常の再入国許可は事前に入管で手続きを行う必要がありますが、永住ビザの方は5年間と有効期間が長くなります。また、5年間の有効期間内に日本に再入国できない場合でも、海外の日本国大使館で1年間延長が可能です。そのため、永住ビザの方は通常の再入国許可を取得する方が得策です。
虚偽の申請で永住許可を取得したとき
永住許可を取得すれば、それ以後にビザの審査が行われることは基本的にはありません。しかし、何かのきっかけでこれまでのビザ申請に関して虚偽の申請を行っていたことが判明することもあります。その場合はビザの取り消し事由に該当するため、永住許可も取り消されてしまいます。
意図的な虚偽申請は当然のことですが、自身で虚偽申請と思っていないことが虚偽申請とみなされるケースもあります。
例えば、過去に別の国籍や氏名のパスポートで日本への出入国履歴があるといった場合、本人はそのことを深刻に考えずにビザ申請では申告していないとします。もし後になってそのことが判明したら「何らかの事情であえて隠していた」と判断され、ビザが取り消されてしまう可能性もあります。
住所の届出を忘れてしまうと
永住許可を取得する際にも「公的義務を果たしているか」という点が審査となっていました。永住審査取得後もこれが影響し、住所を変更したにもかかわらず、届出をしていなければ永住許可が取り消される可能性があります。
法律では14日以内に住所変更の届出を行うのが原則ですが、それを過ぎたから即取り消しというわけではありません。正当な理由なく住所変更から90日が過ぎても届出をしていないと、永住許可が取り消される可能性があります。
在留カードの更新
永住許可には有効期間はありませんが、在留カードに有効期間があります。16歳以上の人は発行から7年、16歳未満の場合は16歳の誕生日までがカードの有効期間です。カードの有効期間なので、決められた期間内に入管に行って簡単な手続きで新しいカードが発行されます。
あくまでもビザの更新ではなくカードの更新なので、その期限を過ぎたらカードの有効期限切れの状態であって、永住許可が取り消された状態ではありません。
しかし、期限内にカードの更新をしないと1年以下の懲役に処せられる可能性があるため、退去強制事由に該当して永住許可も取り消される可能性があります。カードの有効期限切れに気付いたら、すぐに最寄りの入管に行って手続きをするようにしましょう。
永住許可取得後もビザに関して注意が必要です
このように、たとえ永住許可を取得していてもほかのビザと同様に、日本のルールを守っていなければ取り消されてしまいます。
犯罪行為などは当然のことですが、住所の届出やカードの更新といった、つい忘れてしまうような手続きであっても、永住許可が取り消される場合があります。
せっかく苦労して取得した永住許可でもちょっとした不注意ですぐに取り消される場合もあります。ビザ取り消しという最悪の事態を避けるためにも、永住許可取得後もビザに関する正しい理解を心掛けましょう。
永住許可取得後でお困りの方へ
永住許可取得後も意外と気を付けることが多くあります。ようやくもらえた永住許可を引き続き維持できるように、しらき行政書士事務所では永住許可取得後の方からのご相談にも対応しております。
これまで当事務所では、長期間日本から離れる予定の方、既に日本から出国して再入国許可の期限が迫っている方などから永住許可に関するお困りごとにアドバイスをおこなってきました。
永住許可が取り消されるという最悪の状況を避けるため、お一人お一人の事情を詳細に聞かせていただき、最善の方法を提案させていただきます。
どんな小さなことでも結構ですので、少しでも永住許可取得後のことで疑問点やお悩みがございましたら、しらき行政書士事務所までご相談ください。当事務所では初回相談は無料で対応しております。