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【相談事例】就労ビザで日本に来てまだ間もない。配偶者を呼ぶことは可能?

相談者:

現在、当方は就労ビザで日本に来て2ヶ月と、まだ間もない状況です。そこで、妻を母国から日本に呼び寄せたいのですが、可能でしょうか?もしも可能であれば、妻を呼び寄せる申請を行うにあたって注意すべき点を教えてください。

回答:行政書士

初めに結論から述べておくと、就労ビザで日本に来てまだ間もない状況でも、配偶者を日本に呼び寄せられる可能性があります。ただし、申請にあたっては一定の注意が必要です。

就労ビザを持っている外国人の方が配偶者を日本に呼び寄せる際には、その家族に「家族滞在」ビザ(正確にいうと、在留資格「家族滞在」)を取得させるのが一般的です。これは配偶者だけでなく、自身の子どもを日本に呼び寄せたい場合も同様です。

そこで本記事では、就労ビザを持っている方が配偶者(妻・夫)を日本に呼び寄せるために活用する在留資格や、その申請にあたって知っておくべき内容をご紹介します。

就労ビザで日本に来て間もない場合でも「家族滞在」で配偶者を呼べる

冒頭でもお伝えしたとおり、就労ビザで日本に来て間もないという状況の外国人の方でも、「家族滞在」ビザを活用すれば、配偶者を日本に呼び寄せられる可能性があります。

なお、これは「就労ビザで日本に来た」という状況に限らず、例えば以下のようなケースでも、配偶者を日本に呼び寄せられる可能性があります。

留学ビザを利用して日本に滞在している外国人の方が、就労ビザに在留資格を変更したうえで、自身の配偶者に家族滞在ビザを取得させる

つまり、家族滞在ビザの取得要件として、「就労ビザの取得時期(期間)」は問われないということです。

申請時の注意点

ただし、就労ビザで日本に来て間もない場合において「家族滞在」を利用して配偶者を呼べるのは、当然ながらその外国人本人について就労ビザの取得が完了している場合に限られます。

そのうえで、家族が問題なく生活できるだけの金額の給料を得ている場合には、家族滞在ビザの申請が通過する可能性が高いです。

例えば、外国人本人が新卒として日本の企業に入社したというケースでは、家族が問題なく生活できるだけの金額の初任給を得られた場合には、「家族滞在」ビザの申請を通過できるでしょう。

在留資格「家族滞在」の基本情報

ここで、在留資格「家族滞在」について把握しておくべき基本情報を改めて確認しておきましょう。

在留資格「家族滞在」とは、就労ビザ・経営管理ビザなどを持っており日本で働いている外国人の方が、自身の家族を日本に呼び寄せて一緒に暮らすために活用される在留資格のことです。

家族滞在ビザを活用すれば、母国から家族を呼び寄せて、日本で一緒に暮らすことが可能となります。家族滞在ビザで認められる在留期間は、5年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間です。

扶養者に求められる在留資格

家族を日本に呼び寄せて一緒に住みたいと考えている外国人の方(扶養者)は、就労ビザまたは経営管理ビザを持っている必要があります。当然ながら、正当に日本において働いている外国人の方でないと、家族を呼び寄せることは不可能ということです。

家族滞在ビザの活用にあたって、扶養者に求められる在留資格の例を挙げると、以下のとおりです。

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ
  • 技能ビザ
  • 企業内転勤ビザ
  • 経営管理ビザ(旧:投資経営ビザ)
  • 高度専門職ビザ
  • その他、教授・医療・報道などの就労関係のビザ

「家族滞在」を取得できる家族の範囲

前述のとおり、在留資格「家族滞在」の制度が設立された目的の一つに、就労ビザを持っている外国人の方の家族が扶養を受けることがあります。

したがって、「家族滞在」を取得できるのは、外国人の方の配偶者(妻・夫)だけでなく、子どもも対象となります。このうち配偶者は婚姻中でなければなりません。当然ながら離婚した場合や死去した場合は含まれず、内縁の配偶者も許可されません。

ただし、たとえ扶養を受けている場合であっても、扶養者の両親や兄弟姉妹などは対象に含まれません。その一方で、養子や認知している非嫡出子(婚姻関係にない男女の間に産まれた子)などは家族滞在ビザの要件を満たします。このように「家族滞在」を取得できる家族の範囲は若干複雑ですので、ご注意ください。

在留資格「家族滞在」を取得する際の審査ポイント

続いて、在留資格「家族滞在」の取得申請を行うにあたって把握しておくべき審査ポイントとして、特に大切な3つの項目をピックアップし順番に解説します。

結婚の成立・家族関係

「家族滞在」ビザを申請する際には、まず結婚が法的に成立していることが必要となります。内縁関係や婚約状態では受け入れられず、法律上で結婚が有効であることが求められます。

結婚がどこで行われたか、外国と日本を問わず、その結婚が有効に成立していれば問題ありません。その有効性は各国の法律にもとづいて確認されます。例えば、外国人の方が母国の家族を日本に招待する場合、わざわざ日本の役所で結婚届を提出する必要はありません。母国で正式に結婚が成立していれば、それが基準となり、配偶者の呼び寄せが可能となります。

一方、日本滞在中に結婚した場合、日本の役所に婚姻届を提出し、それが受理されていればたとえ母国の行政機関にまだ届け出ていない場合でも問題ありません。

また、子どもを呼び寄せる際は、その子どもとの家族関係を証明する必要もあります。日本でいうところの戸籍謄本にあたる書類や出生証明書などの公的書類を用意しなければなりません。それらの書類が外国語で作成されている場合、日本語の訳文を付けましょう。

加えて、これらの項目について立証する書類も必要です。必要な書類の詳細については、出入国在留管理庁のWebサイトをご確認ください。

扶養の能力

家族滞在ビザを申請する際の審査では、扶養者が家族を養えるだけの経済力(扶養能力)が問われます。この扶養能力は申請者の年収にもとづいて評価されますが、必要とされる年収は地域により異なるため、一概に定められる数値は存在しません。

課税証明書や納税証明書を提出することで、申請者が家族を養うための経済力を持っていることを示すことが求められます。

就労ビザで日本に来てまだ間もない状態で、前年度の所得を示す資料が提出できない場合は、給与明細や銀行通帳の写し等で、現在の収入状況を証明することが必要となります。加えて、具体的な生活費の算出も行い、扶養者とその家族が適切な生活を送ることができる資金があることを明示することも効果的です。

配偶者や子どもが扶養を受ける必要性

家族滞在ビザの申請審査では、扶養者が実際に配偶者や子どもを養う必要があるかどうかが重要なポイントとなります。

つまり、審査時には配偶者や子どもが申請者からの経済的援助を受けているか、または申請者が定期的に送金を行っているかがチェックされます。その証明として、銀行口座の明細や通帳のコピー等を準備しておくことが求められます。

また、もし申請者の子どもが成人している場合、特殊な状況(例えば、学生であることや看護が必要であること等)がない限り、子どもが自立しているとみなされて、申請者が子どもを養う必要性が認められない可能性があります。このような場合、家族滞在ビザの取得は難しくなるため、注意が必要です。

在留資格「家族滞在」の不許可が出る要因

前章で取り上げたポイントを意識していても、在留資格の取得申請が不許可になってしまうことがあります。ここでは、特に不許可の要因となりやすい3つの項目について順番に解説します。

扶養者の就労ビザが不許可になる場合

扶養者の就労ビザが何らかの理由で認められなくなると、その扶養者の家族の家族滞在ビザも認められなくなる可能性が高いです。例えば、扶養者がビザの延長・更新を申請したときに認められなかった場合、その家族の家族滞在ビザも認められなくなります。

したがって、あらかじめ扶養者が就労ビザの資格を保持し続けることができる状況にあるかどうかが、とても重要な前提条件となります。

在留不良に該当する場合

すでに日本に滞在していて、家族滞在ビザを活用しようと考えている方は、現在の滞在状況が法的に適切であることが必要です。

例えば、労働時間の過剰(オーバーワーク)や滞在期間の超過(オーバーステイ)など、在留資格に違反する行為をしている場合は、たとえ配偶者との婚姻関係が成立していて、経済的に配偶者を扶養できる状態にあったとしても、家族滞在ビザの許可が得られない可能性があります。

扶養の能力が疑われる場合

母国に多くの扶養家族がいるという状況は、外国籍の方にとっては珍しくないかもしれません。しかし、これらの家族についても、家族滞在ビザの申請時に確認が必要となります。結論から言えば、母国にいる家族を含め、全ての扶養家族を養うだけの収入がある場合には問題ありません。

しかし、注意すべきは、実際には扶養の必要がないのに、税金の節約を目的として母国の家族や親戚を扶養家族として申告している場合です。このようなケースでは、申告した扶養家族の人数に見合った収入が必要となります。

さらに、税金を脱税する行為は「経済的に困窮している」という印象を与え、その結果として扶養能力が疑われる可能性があります。同じ理由で、住民税や年金をきちんと支払っていない場合も扶養能力に疑念を抱かれる原因となり、家族滞在ビザが認められにくくなります。

在留資格「家族滞在」の申請手続に必要な書類

新しく家族滞在ビザを活用して、家族を日本に入国させる場合の申請に必要な書類を以下にまとめました。

  • 在留資格認定証明書交付申請書:1通
  • 写真:1葉(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)
  • 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの):1通
  • 申請人と扶養者との身分関係を証する文書
  • 扶養者の在留カード又は旅券の写し:1通
  • 扶養者の職業及び収入を証する文書

就労ビザで配偶者を日本に呼びたい人からよくある質問

最後に、就労ビザを用いて配偶者を日本に呼びたいと考えている外国人の方からよくある質問と回答をまとめました。

Q.家族滞在ビザで就労できる?

家族滞在ビザで就労活動を行うことは、原則として禁止されています。ただし、資格外活動許可を取得することで、週28時間以内の就労活動が認められるようになります。

資格外活動許可は、就労先が決まっていない段階でも取得することが可能です。就労先が決まる前に許可を取得しておくことで、取得忘れを防ぐことにつながるでしょう。

もしも資格外活動許可を取得せずに就労した場合、資格外活動罪(入管法第24条4号イ、入管法第73条)に問われる可能性もありますのでくれぐれもご注意ください。

Q.家族滞在ビザで日本に呼べる子どもの年齢は何歳まで?

最初に述べておくと、14歳以下の子どもであれば、基本的には家族滞在ビザの取得は問題ないです。しかし、20歳になるとビザ取得はほぼ不可能となるため、ここでは14歳から20歳までの子どもの家族滞在ビザ取得について詳しく説明します。

14歳までの子どもは、日本においては中学生までの年齢に相当します。中学校に在籍している間は、大抵の場合、家族滞在ビザの取得に問題はありません。

次に、日本での高校生の年齢である15歳から17歳の子どもについては、14歳以下の子どもと比べると家族滞在ビザ取得の難易度は少し高まりますが、高校に在籍しているならビザが取得可能なケースが多くあります。

ただし、高校に通っていない子どもの場合、「親が日本に呼び寄せて労働させるつもりなのでは?」と出入国在留管理庁が疑う可能性があるため、家族滞在ビザの取得が難しくなることもあります。そのため、高校に通っているという事実はビザ取得の大きな要点となります。

18歳以上になると、家族滞在ビザの取得は通常は不可能と考えてください。かつて日本の成人年齢が20歳だった頃は、家族滞在ビザを取得できる場合もありましたが、現在では成人年齢が18歳に下がっているため、この年齢になると「日本に来る目的は働くためでは?」と出入国在留管理庁が疑う可能性が非常に高いです。

そのため、留学を目指している場合は「留学ビザ」、働くために来るのであれば「就労ビザ」の取得を検討しましょう。

Q.家族滞在ビザで在留中の子どもが成長した場合の対応は?

子どもが成長し、自立して生活できるようになると、親からの経済的支援を必要としなくなり、その結果、家族滞在ビザの対象から外れます。しかし、幼いころから日本で生活し、日本の教育を受けてきた子どもが本国への帰国を余儀なくされる状況は、人道的観点から望ましくないと考えられます。

そこで、家族滞在ビザの活用を通じて、日本で義務教育の大部分を修了し、日本の高校を卒業している子ども(基本的に高校卒業までの10年以上の在学歴が要求される)は、日本への定着性の高さに鑑みて、定住者ビザもしくは特定活動ビザへの変更が許可される場合があります。

具体的にいうと、小学生の頃から日本にいる子どもの場合は定住者ビザ、中学生の頃から日本にいる子どもの場合は特定活動ビザへの変更が許可される可能性があります。

終わりに

本記事で述べた内容は、家族滞在ビザを活用して配偶者や子どもを日本に呼び寄せるために把握しておくべき基本的なポイントです。紹介したポイントを全て満たしたからといって、必ずしも配偶者が来日できるとは限りません。

「どうしても配偶者を日本に呼び寄せたい」「家族滞在ビザの申請をスムーズに済ませたい」という場合には、専門家に手続きをサポートしてもらうことをおすすめします。

しらき行政書士事務所では、就労ビザを持つ方の配偶者を日本に呼び寄せるサポートをしてきた実績があります。まずは個々の状況を詳細にお伺いし、そのうえで配偶者を日本に呼び寄せるために必要な手続きをサポートいたします。

もしも就労ビザを持っていて、配偶者を日本に呼び寄せたいとお考えでしたら、どうぞお気軽に「しらき行政書士事務所」までご連絡ください。

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