家族滞在ビザは、すでに就労ビザなどを持っている方の配偶者か子どもに与えられるビザです。そのため、その主体となるビザを持っている方(本体者)の状況が大きく影響するビザなのです。
永住ビザ申請においてもこの状況は同じで、ほかのビザと比べて異なる点がいくつかあります。家族滞在ビザでの注意すべき点を十分に把握した上で永住申請を行い、永住許可となる可能性を高める方法を紹介します。
目次
永住許可は本体者と一緒に申請する
家族滞在ビザは、本体者のビザの状況に左右されるビザです。そのため、永住申請についても、原則家族滞在ビザの方が単独で申請することはできず、本体者の方と同時に申請することになります。
つまり、本体者の方が永住申請できる状況にならないと、家族滞在ビザの方は申請ができません。
そして、申請後の審査についても本体者の方を中心とした世帯全体で審査されることになります。そのため、家族滞在ビザの方が公的義務などを果たして許可の要件を満たしている場合でも、本体者の方が永住許可要件を満たしていなければ、申請した世帯全員が不許可となる可能性が高くなります。
永住申請するには10年待たなくてもよい
永住申請が申請できるまでの期間については「10年以上日本に住んでいて、直近5年以上は就労ビザで滞在している」という大原則があります。このルールは家族滞在ビザの本体者の方には適用されます。そのため、本体者の方が上記の要件を満たすまでは家族滞在ビザの方も永住申請はできません。
本体者の方が年数の申請要件をクリアした場合、家族滞在ビザの方も同時にクリアする可能性が高いのです。
家族滞在ビザの方には特別な取り扱いがあります。それは、本体者の方が永住申請の年数要件を満たした場合、家族滞在ビザの方は配偶者ビザの方と同じ取り扱いとなり、「結婚期間が3年以上で、1年以上日本に住んでいる」というルールが適用されます。
そのため、本体者の方より後に日本に来て、まだ滞在歴が4年という場合でも、配偶者ビザの年数ルールに該当するため、本体者の方と同時に永住申請ができます。
結局のところ、本体者の方が永住申請の年数要件を満たさないと家族滞在ビザの方は申請できないのですが、10年の滞在歴は必要とされていないということは他のビザとは異なる大きなポイントです。
収入要件の審査の取り扱いが厳しくなる
家族滞在ビザでの永住申請では、本体者の方の収入のみで判断されることになります。家族滞在ビザの方は就労不可のビザですが、資格外活動許可を取れば週28時間以内のアルバイトが可能になりまし。そのため、月に数万円の収入を得ている方もいると思いますが、この収入は永住審査の上では本体者の収入と合算してはもらえません。
収入要件には「ビザで認められた活動で得た収入」のみ算入されるという考え方ですので、「就労不可」の家族滞在ビザで得た収入はカウントされません。
一方、配偶者ビザの方のパート収入は、永住申請の収入要件に合算されます。配偶者ビザは収入を得る活動が主体ではありませんが、「就労制限なし」のビザです。そのため、資格外活動許可を得なくても仕事に就くことができる点で家族滞在ビザと異なるため、このように扱いが異なります。
また、家族滞在ビザの方が永住申請を行うということは、永住許可となる収入要件の金額が上がることになります。収入要件の一つの目安として、「申請者の年収が300万円以上、世帯が1人増えるごとに+70~80万円」という数字があります。
この数字を満たしていないと必ず不許可になるわけではありませんが、家族滞在ビザで申請する世帯が増えると必然的に収入要件も厳しくなります。
また、収入は5年間の記録が審査対象となりますので、長期間にわたって永住許可の収入要件を満たしている必要があります。
本体者の永住許可要件が整ったらすぐに申請しましょう
家族滞在ビザは、様々な面で本体者の状況に大きく影響されるビザです。永住申請も本体者が申請できないと自身もいつまでも申請できません。
しかし、本体者の方が年数要件を満たせば、家族滞在ビザの方自身が10年以上日本に滞在していなくても年数要件を満たすという特別な扱いがあります。
特に、家族滞在ビザの方は、本体者と離婚や死別で分かれてしまうと、日本にいられなくなってしまう恐れがありますので、可能な限り本体者の方と一緒に永住申請を早めに行うことをおすすめします。
永住許可を確実に取得するために
家族滞在ビザの方は、永住申請の要件は本体者の方との関係で判断する必要があります。そのため、色々な要素を総合的に検討した上で永住申請を行うかどうかを判断する必要があり、自分自身で判断するのはとても難しいのです。
申請する以上は、可能な限り許可となる確率を上げて申請するのがベストですので、それを判断するために専門家の力を借りるのも一つの方法です。専門家に相談することで、自分自身では知らなかったルールや方法が見つかることもあります。
ご家族での永住許可申請に関して、少しでも不安や心配がある方は、しらき行政書士事務所へお問合せください。