外国人の方の状況によっては、複数のビザに該当するケースがあります。
例えば現在就労ビザを持っている人が、日本人と結婚した場合で考えてみましょう。この場合、今持っている就労ビザを日本人の配偶者ビザへ変更しなくてはならないのでしょうか?答えは「変えてもよいし、変えなくてもよい」です。
ビザ(在留資格)は、1人の外国人の方が1つしか持つことができません。つまり、1人の方が複数のビザに該当する可能性がある場合、自分でどのビザを取りたいかを選んで申請する事ができるということです。
それでは、引き続き就労ビザを持っている人が日本人と結婚した場合の例で具体的な流れを見てみましょう。この方の場合、
①現在持っている就労ビザのままでいる(ビザの手続きはしない)
②日本人の配偶者ビザに変更する(ビザ変更手続き)
の2通りです。
目次
現在持っている就労ビザのままでいる(ビザの手続きはしない)
①の場合、結婚後もビザに関する手続きは特に必要ありません。
配偶者ビザへ変更するためには、ビザ変更に関する申請書類を準備しないといけません。両国の結婚証明書や、出会って結婚するまでの経緯の詳細な説明など、かなりの手間がかかりますし、申請したから必ず許可されるというわけでもありません。その手間を考えると、これまで通り就労ビザの有効期限が近付いたときに更新手続きをするだけの方が簡単に済みます。
また、長期間就労ビザで働いており、永住許可の申請要件を満たす場合、そのまま就労ビザでいる方が早く永住許可を申請できる場合もあります。また、ビザ変更申請の場合、最初の許可でもらえる在留期間は「1年」の可能性が高くなります。
そのため、既に就労ビザで「3年」「5年」といった長期の在留期間が許可されている場合は、在留期間が短くなるので今のままにしておくという選択肢もあります。
日本人の配偶者ビザに変更する(ビザ変更手続き)
一方で②を選択した場合、ビザ変更の手間はかかるかもしれませんが、配偶者ビザを取得できれば就労制限が一切なくなるというメリットがあります。
就労ビザの場合、基本的にビザの要件で決まっている仕事しかできないため、自分がやりたい職業への転職が制限される場合があります。しかし、配偶者ビザは基本的に日本人同様、職種の制限はありませんし、正社員以外のパートやアルバイトで働くこともできます。
自分で事業を始めるときも、経営管理ビザのような細かい要件を気にせずにスタートできます。これは非常に大きなメリットですね。
さらに、永住許可を申請できるまでの期間に関しても配偶者ビザの方がかなり有利です。就労ビザの場合は10年以上の日本での滞在歴と5年以上の就労期間が必要ですが、配偶者ビザの場合は最短で結婚後3年で申請可能なケースがあります。
ビザの要件に該当しない状態になったとき、注意を要する
上記以外で両方のビザについて言える事ですが、ビザの要件に該当しない状態になった時は注意が必要という事です。
就労ビザの場合、今の会社で働けなくなったりして、仕事をしていない期間が長期にわたるとビザを取り消される可能性が出てきます。配偶者ビザの場合は、別居や離婚、死別などの理由で夫婦生活が継続されなくなった場合にビザが取り消される可能性があります。
このように、ビザの種類によってそれぞれのメリットデメリットがありますし、これまでの日本での滞在歴や現在のビザの状況、将来の予定など皆さんの状況は一人ひとり異なります。
そのため、ビザを今のままにしておくか変更するのかを判断するには、様々な要素を複合的に考えて検討する必要があります。
ビザを変えた後で永住申請までの期間が延びてしまった、ビザを変更したけどすぐに事情が変わってまた元のビザに戻さないといけなくなったなど、変えてしまってから実は変えない方がよかったとなっても後の祭りです。
ビザの選択肢がある中で、どのビザが一番自分に適しているかを判断するのは難しいと思います。
ビザでお困りの際は専門家に相談する方法もあります
- 自分はどのビザで申請できるか知りたい
- 複数のビザが申請できるけど、どのビザで申請するのが最適か分からない
こんなお悩みのお持ちの方はぜひ当事務所にご相談ください。当事務所はビザ申請を専門に取り扱っていて、それぞれのビザの特徴を十分に把握していますので、あなたに最適なビザを選択するお手伝いができます。
ビザの現時点でのメリットデメリットだけでなく、将来的に永住許可を取得するまでの道のりについても最適な方法を一緒に検討します。
まずはあなたの現状についてお聞かせいただき、様々な条件を検討した上でビザを変更すべきかどうか、どのタイミングで変更した方がよいかなど、相談者様のそれぞれの状況に最適な提案をさせていただきます。当事務所では初回の相談は無料で対応しておりますので、「とりあえず自分の状況が知りたい」といった感じでお気軽にご利用ください。
ビザの種類やそれぞれの特徴を細かく理解することは簡単な事ではありません。相談する相手も近くにいなくて、不安な気持ちで日々過ごされている方もたくさんいると思います。少しでもビザの事で悩みを抱えていたら、当事務所にお問い合わせください。一緒にその不安を解消するお手伝いをいたします。