留学生として日本で勉強している方でも、自身の家族を海外から呼ぶことは可能です。ただし、就労ビザの方が家族を呼ぶ場合と比べると、かなり難しいのが現実です。様々な要件をクリアしたうえで、留学生が家族を呼ぶことができるようになります。
ここでは、留学ビザの方が家族を日本に呼び寄せる際の注意点やクリアすべき要件をご紹介します。
目次
留学ビザで家族を呼ぶ場合のビザの種類と対象者
留学ビザで日本に滞在している人が、ご自分の家族を呼び寄せる場合のビザは「家族滞在ビザ」になります。このビザは、留学ビザのほか、就労ビザの方が家族を呼ぶときにも対象となるビザです。
この家族滞在ビザで呼ぶことができる家族は、配偶者の方と、お子さんになります。家族滞在ビザでは親を呼ぶことはできませんのでご注意ください。
家族滞在ビザで呼ぶことのできるお子さんについては、実子に加えて海外の法律に基づいて養子縁組をしたお子さんも対象になります。
また、お子さんの年齢制限もありませんので成人年齢に達したお子さんでも家族滞在ビザの対象となります。ただし、実務的には義務教育が終わる15歳以上になると呼び寄せが難しくなります。
留学ビザ特有の家族を呼ぶ際の注意点
留学ビザの方は、家族滞在ビザで配偶者か子どもを日本に呼ぶことが法律上は可能です。しかし、いざ呼ぶとなると、様々なクリアすべき要件があります。特に勉強が活動の目的である留学生が、本国から家族を呼び寄せて面倒をみる必要性と経済力が大きく関わってきます。
留学ビザで家族を呼ぶ場合に特に注意すべき点が以下の3点です。
②学校の種類によっては家族を呼べない
③学業の状況や日本での滞在状況も審査対象となる
①生活費をどうするのか?
まず、家族滞在ビザは、すでに日本で滞在している人(本体者)が、配偶者か子を呼んで面倒を見るためのビザです。つまり、本体者の収入で家族の生活費を賄う必要があるのです。
しかし、留学ビザの場合、基本的に就労不可のビザです。資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内のアルバイトは可能となりますが、それで得られる収入は月に10万円前後でしょうから、とても家族を呼び寄せて面倒を見ることはできません。ここが、就労ビザの方が家族を呼び寄せる場合と大きく異なる点です。
そのため、留学ビザで家族を呼び寄せるには、別の方法で生活費を準備できることを証明する必要があります。
例えば、本国からの仕送りです。これまでの留学期間中も本国の親や親族からの仕送りがある場合は、新しく家族を呼んだ場合に仕送り額を増やしてもらうことができれば、日本での生活費は問題ないと判断される可能性があります。この場合は、これまでの仕送りの記録や、仕送りしてくれる人の資力を証明する書類を証拠として提出することになります。
他には、自身が母国で貯めたお金で留学している場合であれば、家族の生活費もその貯金でカバーできることが証明できれば、生活費の要件をクリアできます。この場合は、本国にある自身の資産(預貯金、不動産など)を裏付ける資料(残高証明書、登記簿など)を提出するとよいでしょう。
なお、家族滞在ビザで来日した場合、留学ビザと同じく資格外活動許可を取得すれば週28時間以内のアルバイトが可能です。そのため、「配偶者が日本に来て、アルバイトしたお金を生活費にあてるから大丈夫」と考える方もいます。
しかし、ビザの審査では、この考えは認められません。あくまでも、日本に呼ぼうとする時点で、家族の生活費が十分に確保されている必要がありますので、日本に来た後の家族のアルバイト収入をあてにするのでは、ビザは不許可となります。
②学校の種類によっては家族を呼べない
留学ビザといっても、人によって通っている学校の種類は様々です。留学ビザであっても、その通っている学校によって、家族が呼べるかどうかが異なります。
家族滞在ビザで呼べる方は、大学院、大学、短大、専修学校(専門課程)などに通っている方です。一方で、家族滞在ビザで家族を呼べないのが、高等学校、専修学校などに通っている方です。
外国人の留学生の方で多い、日本語学校の場合は、家族滞在ビザで呼べない方になります。 日本語学校を卒業して、その後に大学や短大に進学した場合は、家族滞在ビザでご家族を呼ぶことができます。
③学業の状況や日本での滞在状況も審査対象となる
ご家族を日本に呼ぼうと思うと、留学ビザで日本に滞在している方の日本での生活状況や学業の状況も審査の対象となります。
まず、留学ビザで日本に来ているわけですから、しっかりそのビザで決められた活動=勉強を行っているのかが審査されます。
留学生という本来の活動をせずに家族を呼ぶとなると、家族の面倒を見ることに忙しくなり、ますます勉強をしなくなるのではないか?と判断されてしまいます。そのため、家族滞在ビザで家族を呼ぶ場合は、学校の成績表などで授業への出席状況や学業の取り組み状況を確認されます。
学業以外にも、日本での滞在状況も判断材料となります。日本のルールをしっかり守って生活していることが大切です。留学生の方で可能性があるのが、自動車の交通違反やアルバイトの時間超過です。
駐車違反などの軽微な違反であれば、そこまで大きな問題になりません。しかし、免停処分を受けたり、軽微な違反を何度も繰り返したりしていると、「素行不良」と判断され、家族を呼ぶ際の審査で大きなマイナスとなります。
また、資格外活動許可の範囲である週28時間を超過してアルバイトをしている場合も「素行不良」とみなされます。この場合、家族を呼ぶことができないだけでなく、留学生本人も日本にいられなくなる可能性があるため、十分に気を付ける必要があります。
留学ビザで家族を呼ぶのはかなり難しい
上記のポイントは留学ビザで家族を呼ぶための代表的な注意点ですので、これをクリアしたから必ず家族を呼ぶことができるわけではありません。
やはり留学ビザの場合、本来学業に専念する立場なので、それなりの事情がないと家族を呼ぶことは容易ではありません。
本来は、学校卒業後に就職先が見つかり、留学ビザから就労ビザに変更できたタイミングでご家族を呼ぶのが一番良いと思います。しかし、どうしても留学中に呼びたい、呼ばないといけないという事情もあるかと思います。そのような場合は、専門家の力を借りることも人ルの方法です。
しらき行政書士事務所では、留学ビザの方のご家族を呼び寄せるお手伝いをした実績もございます。まずは、ご相談者様の事情を詳しく聞き取りしたうえで、ご家族を呼ぶ手続きをお手伝いいたします。
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