現在、当方は留学ビザで日本に在留しています。そこで、妻を母国から日本に呼び寄せたいのですが、可能でしょうか?もしも可能であれば、妻を呼び寄せるにあたって注意すべき点を教えてください。
初めに結論から述べておくと、留学生であるからといって配偶者を日本に呼び寄せることは不可能ではありません。留学ビザを持っている留学生の場合、配偶者に家族滞在ビザを取得してもらうことで、日本に呼び寄せることが可能です。
なお、海外にいる配偶者が大学などを卒業し日本で就職する場合、その配偶者は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得して、日本で働くことができます。ただし、その場合でも子どもが日本で生活するためには、やはり「家族滞在ビザ」の取得が必要です。
今回は、留学ビザの方が妻(夫)を日本に呼び寄せるために利用する在留資格や、手続きに必要な書類、事前に把握しておくべき注意点などをご紹介します。
目次
留学ビザの方が妻(夫)を日本に呼び寄せるための在留資格
留学ビザで日本に在留している方が、自身の配偶者を日本に招くためには、基本的に配偶者に「家族滞在ビザ」を取得してもらう必要があります。
家族滞在ビザとは、正式にいうと在留資格「家族滞在」のことであり、留学生や「就労ビザ」などで日本に在留している外国人が、自身の配偶者・子どもなどを日本に呼び寄せるために利用するものです。
配偶者が在留資格「家族滞在」を取得することで、在留資格「留学」を持つ方と日本で生活を送れるようになります。
家族滞在ビザの要件
家族滞在ビザを取得するためには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 留学ビザや就労ビザなどで日本に在留している外国人に扶養されている配偶者もしくは子どもである
- 扶養している方に配偶者や子どもを扶養する意思と能力(生活費を負担する能力)がある
- 扶養されている配偶者は扶養を受け、子どもは監護養育を受けている
配偶者の要件
配偶者については、さらに以下の要件を満たすことが求められます。
- 留学ビザや就労ビザなどで日本に在留している外国人との間で法律的婚姻が成立している
- 来日後は、留学ビザや就労ビザなどで日本に在留している外国人との同居を前提としている
このことから、すでに離婚している元配偶者や内縁の配偶者、外国で有効に成立した同性の配偶者は対象外とされているためご注意ください。
家族滞在ビザで認められる活動内容
家族滞在ビザでは、以下のような活動が認められています。
入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/dependent.html
簡単にいうと、家族滞在ビザでは、日本で日常生活を行うことについて特別な制限は設けられていません。
ただし、配偶者や子どもが日本での仕事を希望する際は、出入国在留管理庁から「資格外活動許可」を受けることで、1週28時間までのアルバイト・パートタイマーの仕事ができるようになります。
なお、家族滞在ビザの在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)とされています。
留学ビザの方が妻(夫)を日本に呼び寄せる際の必要書類
留学ビザの方が妻(夫)を日本に呼び寄せる手続き(配偶者に家族滞在ビザの取得を認めてもらうための手続き)には、以下の書類が必要です。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記し、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの)
- 申請人(配偶者)と扶養者(留学生)との身分関係を証する文書(例:戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚証明書(写し)など)
- 扶養者(留学生)の在留カードまたは旅券の写し
- 扶養者(留学生)の収入を証する文書(例:扶養者名義の預金残高証明書または給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書など)
留学ビザの方が妻(夫)を日本に呼び寄せる際の必要書類について、詳しくは出入国在留管理庁の公式HPをご確認ください。
配偶者が家族滞在ビザを取得するための手続きについては、日本に在留している留学生が代理として出入国在留管理局に対して行うことも可能です。
ただし、配偶者本人以外の方が申請書類を提出する場合は、その方が申請書類を提出できるかどうかがチェックされるため、提出する方の身分を証する文書の提示が求められます。
留学ビザの方が妻(夫)を日本に呼び寄せる際の注意点
留学ビザで日本に在留している方であっても、家族滞在ビザを利用すれば配偶者を日本に予備セルことが可能です。
しかし、実際に配偶者に家族滞在ビザを取得してもらうためには、さまざまな要件を満たさなければなりません。とりわけ留学生は勉強を主な活動目的としているため、本国から家族を呼び寄せて生計を立てられる経済力があることをアピールすることが難しいでしょう。
以上を踏まえて、留学ビザの方が配偶者を日本に呼び寄せる際の注意点として、以下の3つを解説します。
- 生活費を確保できていることが大切
- 留学生が通う学校の種類によっては妻(夫)を日本に呼び寄せられない
- 短期滞在ならば「家族滞在」の取得は不要
それぞれの項目を順番にわかりやすく解説します。
生活費を確保できていることが大切
留学生が配偶者を日本に呼び寄せる際の「家族滞在ビザ」を取得するためには、生活費の調達方法が重視されます。
生活費の調達方法としては、母国の両親からの資金援助・奨学金の有無・預貯金などがありますが、中でも両親から定期的に送金があれば、「家族滞在ビザ」取得の認定が下りやすくなります。
ただし、家族滞在ビザの取得前にのみ大量の送金があったというケースでは、定期的な送金とはみなされないため注意しましょう。
母国の両親から資金援助を受ける際は、海外送金を利用しましょう。海外から送金があると銀行から通知が届くため、それをビザ取得の証明資料として使用できます。
そのほか、本国の両親からの送金の具体的な立証方法については、以下のような資料を使用することもあります。
- 送金してもらうことになった経緯
- 送金者の在職証明書
- 送金者の収入証明書
なお、留学生のアルバイトは週28時間までとされています。これを超えて働いている場合には配偶者の在留資格にも影響を及ぼすため、十分な注意が必要です。
そのほか、留学生の出席率が低かったり、単位修得の状況がよくなかったりしても、家族滞在ビザの取得が認められにくくなります。
以上を踏まえると、留学生が配偶者に家族滞在ビザを取得してもらうためには、両親からの定期的な送金がなければ難しいというのが実情です。
留学生が通う学校の種類によっては妻(夫)を日本に呼び寄せられない
配偶者に「家族滞在ビザ」を取得してもらい、日本に呼び寄せることができるのは、夜間や通信を除く日本の大学・短期大学・大学院・専修学校の専門課程・高等専門学校で学ぶ留学生に限定されています。
つまり、高等学校以下の学校で学ぶ留学生や日本語学校で学ぶ留学生などは、「家族滞在ビザ」を利用して配偶者を日本に呼び寄せることはできないため注意しましょう。
なお、日本語学校を卒業後、日本の大学や短大に進学した場合には、家族滞在ビザを使って配偶者を日本に呼び寄せることが可能となります。
短期滞在ならば「家族滞在」の取得は不要
一時的に配偶者を日本に呼び寄せたい(滞在期間が90日以内となる)場合については、在留資格「短期滞在」で日本に在留することが可能です。
なお、ビザ免除措置国または地域の旅券(パスポート)を所持している場合、短期滞在ビザを申請する必要はありません。
終わりに
本記事で述べた内容は、留学ビザを持つ方が配偶者を日本に呼び寄せるために把握しておくべき基本的なポイントです。紹介したポイントを全て満たしたからといって、必ずしも配偶者が来日できるとは限りません。
実際、留学ビザを持っている方は学業を最優先にしなければならず、特別な理由がない限り配偶者を日本に呼び寄せることは難しいでしょう。
理想的なのは、学校を卒業し、就職先が見つかったタイミングで留学ビザを就労ビザに変更し、その時点で配偶者を日本に呼び寄せることです。
しかし、どうしても留学中に配偶者を日本に呼び寄せたい、もしくは呼び寄せなければならない特別な状況があるという場合には、専門家に申請手続きをサポートしてもらうことをおすすめします。
しらき行政書士事務所では、留学ビザを持つ方の配偶者を日本に呼び寄せるサポートをしてきた実績があります。まずは個々の状況を詳細にお伺いし、そのうえで配偶者を日本に呼び寄せるために必要な手続きをサポートいたします。
もしも留学ビザを持っていて、配偶者を日本に呼び寄せたいと思っているなら、どうぞお気軽にしらき行政書士事務所までご連絡ください。