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【相談事例】希望する在留期間の許可がもらえませんでした

相談者:

この度、在留資格の更新申請を行ったところ、1年の許可しかもらえませんでした。更新期間に不満があるので、もう一度申請を行いたいのですが、これは可能でしょうか?そのほか、在留資格の更新期間について知っておくべきことがあれば教えていただきたいです。

回答:行政書士

はじめに結論から述べておくと、在留資格の更新期間に不満があったとしても、再申請は行えません。

更新期間の決定を不服として、異議申し立てを行うといった手段はありますが、決定が覆ることはほとんどありません。したがって、現実的に決定された更新期間を受け入れ、次の策を検討することになります。

そこで本記事では、在留期間の更新期間に不満がある方に向けて、取れる対応策や在留資格の更新期間が決まる方法、在留資格の更新期間が少なくなるケースを中心に分かりやすく解説します。

在留資格の更新期間に不満がある場合に取れる対応策

冒頭でもお伝えしたとおり、在留資格の更新許可申請を行った結果、自身が希望していたよりも少ない更新期間で在留資格の更新が許可されたという場合であっても、それを不服として在留資格の更新許可の再申請を行うことは認められていません。

なお、更新期間の決定を不服として、異議申し立てを行うといった手段はありますが、決定が覆ることはほとんどないため現実的な解決法とは言えません。

こうしたケースにおいて取れる対応策としては、主に以下の2つが挙げられます。

  • 出入国在留管理庁に対して、希望よりも少ない期間で在留資格の更新が行われてしまった理由を尋ねる
  • 次回の在留資格の更新許可申請の際は長期間(3年あるいは5年)の在留期間を認めてもらうための準備を行う

在留資格の更新期間に不満を感じている場合、出入国在留管理庁に更新期間が少なくなってしまった理由を聞きに行くことが可能です。ただし、理由を聞きに行くことができるのは、基本的に1回のみである点に注意しましょう。

また、担当官や理由によっては簡単な説明を受けることしかできないケースも十分に考えられます。1度のヒアリングを生かすためにも、説明されたことは必ずメモを取るなどして記録しておくようにしましょう。

出入国在留管理庁に理由を聞きに行く際に不安な場合には、行政書士に同席の依頼をすることを強くおすすめします。

在留資格の更新期間の決まり方 

そもそも、在留期間は法律で決まっています。例えば、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留期間は「5年」「3年」「1年」「6か月」のいずれかです。そのため、「10年」を希望しても最長で「5年」までしか取得できません。

一方、「家族滞在」は、扶養者(就労ビザを持つ家族)の在留期間と合わせる方針です。扶養者の在留期間の満了日に合わせて在留期間が付与されます。

就労ビザの場合、例えば「技術・人文知識・国際業務」や「経営管理」の在留期間は「5年」「3年」「1年」「4か月(経営・管理のみ)」「3か月」のいずれかです。しかし、「特定技能1号」は最長で「1年」と決められており、「興行」は最長で「3年」となっています。どんなに在留状況が良くても「5年」は取得できません。

このように、すべての在留資格に「3年」や「5年」の期間が用意されているわけではないことを理解しておきましょう。

在留資格の更新期間が1年になる理由

簡単に言うと、出入国在留管理庁が在留資格の更新から1年後に様子を確認したいと判断すれば「1年」の在留期間が付与されます。「1年後」に様子を見る必要がないと判断されれば、「3年」や「5年」が付与されるわけです。

この「様子を確認したい」と思われる内容は、審査の中で不安な点がある場合に、その項目について確認されることになります。審査は「法務大臣の自由な裁量により総合的に勘案される」とされており、在留資格の更新許可申請の内容全体が審査されます。

すべての要件をクリアしていると思っても、必ずしもそのように判断されるとは限りません。反対に不安な点がいくつかあっても、全体を審査した結果、希望する期間の在留資格の更新が認められる場合もあります。

在留資格の更新期間が少なくなるケース

在留資格の更新期間が少なくなる一般的な要因の一つに「在留歴が浅い」という、改善が難しい理由があります。例えば、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」、「経営・管理」の在留資格を初めて取得する場合、多くの場合で「1年」が付与されます。

よく見られるパターンとしては、初めに「1年」の在留期間が2回続き、その後の更新許可申請の審査で問題がなければ「3年」が付与されるというケースです。

ここでは、日本への入国歴が浅いわけではなく、何度更新しても「1年」が続くケースを中心に、考えられる主な要因を挙げていきます。

将来の活動内容が安定していない

これは、以下の審査ポイントに関する内容です。

行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること

例えば、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の場合、同じ人との婚姻関係が続いていても、別居しているなどの特殊な事情がある場合は、更新時の在留期間が少なくなることがあります。

また、就労ビザで転職した場合も、転職先の業務内容によっては在留期間が「1年」となる場合があります。

過去の活動内容に問題があった

これは、以下の審査ポイントに関する内容です。

  • 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
  • 素行が不良でないこと

前回の変更や更新が許可されてから現在までの期間において、在留状況に不審な点がある場合、更新時の在留期間が少なくなる要因となります。

しかし、前回の申請書に書かれたとおりの活動を行い、犯罪などを犯していなければ基本的に問題ありません。

現在の生活の安定性に気になる点がある

これは、以下の審査ポイントに関する内容です。

  • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  • 雇用・労働条件が適正であること

つまり、安定した生活を送るための収入や財産があるかどうかを意味します。具体的な世帯年収がいくらあれば「3年」や「5年」の在留期間がもらえるという基準はありませんが、安定した企業に就職し、世帯規模に見合った年収がある方が、更新時の在留期間が長くなる傾向があります。

また、大手企業(上場企業・カテゴリー1※やカテゴリー2※に当てはまる企業)の場合、新卒1年目でも「3年」や「5年」が出やすいという話がありますが、就職先の規模が影響することがあります。雇用内容や労働条件が適正であっても、短期の雇用契約の場合は更新時の在留期間が「1年」となることが多いです。

例えば、雇用契約が「6ヶ月」の場合、無期雇用と比較して在留期間が「1年」となる可能性が高くなります。ただし、「6ヶ月」の契約期間でも「3年」や「5年」の在留期間が付与される場合もあります。

※カテゴリー1
  1. 日本の株式上場会社
  2. 保険業を営む相互会社
  3. 国,地方公共団体
  4. 独立行政法人,特殊法人,特別認可法人,国・地方公共団体認可の公益法人
  5. 法人税法別表第1に掲げる公共法人
※カテゴリー2

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上であることが証明された団体又は個人

納税義務を履行していない

これは、以下の審査ポイントに関する内容です。

納税義務を履行していること

納税は義務ですので、未納があると印象が悪く、悪質な場合は「不許可」になる可能性もあります。

特別な事情で納税ができない場合でも、それは「生活が安定しているか」に関わるため、未納は在留期間が少なくなる要因となります。過去に、就労ビザの申請者で多くの未納があった方が、支払い計画書を添付して申請し、何とか許可を得たものの、「数か月(1年未満)」の在留期間となったケースも報告されています。

入管法に定める届出等の義務を履行していない

これは、以下の審査ポイントに関する内容です。

入管法に定める届出等の義務を履行していること

よくあるケースとして、引っ越しをした際に転出届や転入届を市区町村役場で行うことを忘れているというものがあります。

また、就労ビザで在留している人は転職時に「所属機関等に関する届出」が必要ですが、この届出を忘れることが多くあります。家族ビザで在留している人も、状況が変われば入管への届け出が必要な場合があります。

これらの届け出には「14日以内」といった期限があり、気づいたら期限を過ぎていることも珍しくありません。遅れても提出する方が、提出しないよりも良い結果になります。遅れて提出した人でも、更新時に「3年」「5年」の在留期間がもらえることがあります。

在留資格を変更している

在留資格を変更して初めての更新許可申請の場合、更新期間が1年になる確率が高いです。これまでと在留資格が異なるため、出入国在留管理庁としてはまずは1年の更新期間に設定しておき、そこで様子を見たいと考えるためです。

その1年を経て、次回の更新許可申請の際に、出入国在留管理庁は在留者に対して確かめたいことがあります。具体的には、以下のような項目です。

  • 転職しているかどうか
  • 給与が下がっているかどうか
  • 日本人の配偶者と別居しているかどうか
  • 経営状況が良いかどうかなど

次回の更新許可申請では、上記のような結果も踏まえて、更新期間が決定されることになります。

在留資格の更新許可申請前にできる準備

在留資格の更新許可申請では、要件をクリアしていない、必要な書類が揃っていないなどの理由で不許可になることもあります。まずは更新許可の申請前にできることをしっかりと確認し、希望する更新期間を認めてもらう準備を済ませましょう。

要件をクリアしているか確認する

在留資格には、取得や更新時に必要な要件があります。更新時にも、これらの要件をクリアしているかがチェックされます。

要件をクリアしていない例としては、在留資格「留学」で滞在している方が更新時に学校を辞めてしまっている場合や、就労ビザを取得している方が転職して在留資格の活動範囲外の仕事をしている場合などがあります。滞在中に何か変化があった場合は、放置せずに正しい方法で対処するようにしましょう。

要件をクリアしていることを明確に示しているか確認する

要件をクリアしていることを明確に示すためには、それを立証できる書類を準備する必要があります。

例えば、納税状況を証明するためには、「直近の住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの)」を提出します。また、転職後の業務内容が在留資格の活動範囲内であることを証明するためには、「就労資格証明書」を提出します。

必要書類がすべて揃っているか確認する

申請を行う際には、更新の判断に必要な書類をすべて提出することが必須です。必要な書類が揃っていなければ、更新を許可する判断が難しくなります。

申請時には、必要書類とそれを証明する理由書などを確認し、書類一式を揃えて提出するようにしましょう。

終わりに

在留資格の更新期間に不満がある場合、まずは自分の状況を正確に把握し、必要な書類を適切に準備することが最も重要です。また、専門家である行政書士のアドバイスを受けることで、効果的な対応策を見つけることができます。

更新期間が少なくなるケースについても理解を深め、適切な対処を行うことで、日本での生活や仕事を安心して続けることができるでしょう。

在留資格の更新に関する問題は、個々の状況によって異なるため、常に最新の情報を収集し、適切な対応を心がけることが大切です。

在留資格の更新期間について、お悩みを抱えている場合には、お気軽にしらき行政書士事務所までお問い合わせください。

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