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【相談事例】少額な収入でも資格外活動は必要ですか?

相談者:

現在、私は留学ビザで日本に滞在しており、趣味で動画配信をしています。月に数千円程度の収入がありますが、これは資格外活動になるのでしょうか?

回答:行政書士

結論から言うと、趣味の範囲内で小遣い程度の収入であれば、資格外活動には該当しないと判断されることが多いです。ただし、定期的に動画を投稿し、まとまった収入を得ている場合は注意が必要です。

本記事では、外国人留学生が動画投稿やメルカリなどで収入を得る場合に、資格外活動に該当するかどうかについて詳しく解説します。就労や留学などの在留資格を持ちながら副業を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

資格外活動許可申請とは

まず、資格外活動許可申請の基本情報を説明します。

日本に滞在する外国人が、就労や留学などの在留資格に基づく活動以外で、アルバイトなど収入を伴う事業や報酬を受ける活動を行う場合には、「資格外活動許可申請」が必要です。

日本に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第1または第2に定められた在留資格を持つことが義務付けられています。これらの在留資格は、就労や留学などの活動に応じて許可され、その活動内容はそれぞれの在留資格によって決まっています。

したがって、許可された在留資格に基づく活動以外で「収入を伴う事業の運営」や「報酬を受ける活動」を行う場合には、事前に資格外活動許可を受ける必要があります。

つまり、外国人留学生が副業を始める場合、その活動が資格外活動に該当するならば、資格外活動許可申請が必要になることがあります。

包括許可

資格外活動許可には、包括許可と個別許可の2種類があります。「留学」の在留資格を持つ人がパートやアルバイトをする場合、週28時間以内の収入を伴う事業や報酬を受ける活動について「包括許可」が認められます。

入管法では、許可された在留資格に基づく活動以外で「収入を伴う事業の運営」や「報酬を受ける活動」を行うことは原則禁止されています。しかし、例外としてこれを認めるのが資格外活動許可です。

例えば、留学生が学費や生活費を補うためにアルバイトをする場合、就労分野に制限はなく、就労時間に上限を設けた包括的な資格外活動が認められます。これは、日本人の雇用や労働条件に大きな影響を与えないと考えられるためです。

ただし、留学生のアルバイトでも、包括許可の範囲を超える活動を行う場合には、「個別許可」が必要となります。

個別許可

個別許可は、就労ビザを持つ人が別の活動を行う際に必要となります。この許可は、入管法の別表第一の一や二に該当する在留資格で認められた活動を行う場合に取得できます。

例えば、平日に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働いている人が、夜間や週末に「コンビニで接客のアルバイト」をすることはできません。これは、「コンビニで接客」を行うための在留資格が存在しないためです。

また、留学生の資格外活動でも、包括許可の時間制限を超える場合や、時間の計測が困難な場合には、個別許可が必要となります。この場合、資格外活動許可の一般的な要件を満たしていることが前提ですが、さらに以下のいずれかの条件に当てはまる必要があります。

  • 大学または大学院に在籍し、その年度末で修業年限を終える者であってかつ卒業に必要な単位をほぼ修得している者が、いわゆるインターンシップ活動を行う場合
  • 次のいずれかに該当する場合
  • 申請に係る活動が語学教師、通訳、翻訳、家庭教師その他当該留学生の専攻科目と密接な関係のある職種又は社会通念上学生が通常行っているアルバイトの範囲内にある職種であること
  • 日本での起業を目的とした準備活動であること

一般原則は、詳細は省きますが、概ね以下のとおりです。

  • 現に有する在留資格に係る活動の妨げにならないこと
  • 現に有する在留資格に係る活動を行っていること
  • 申請に係る活動が入管法上の就労資格に該当すること(入管法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(「特定技能」及び「技能実習」を除く)に該当すること)
  • 申請に係る活動が違法な活動や、風俗営業等に該当しないこと
  • 素行が不良でないこと

留学生の場合、資格外活動を申請する際にまず大事なのは、その活動が学生としての本来の学業に支障をきたさないことです。

しかし、得意分野を活かした仕事や卒業後の就職につながる仕事であれば、時給制のアルバイト以外でも、個別許可を取得することで可能になる場合があります。

留学生が資格外活動許可を取得する場合のポイント 

業務委託契約や請負契約などで資格外活動を行う場合、契約内容から標準的な労働時間が明確であれば、その時間を基に包括許可を得ることができます。しかし、その労働時間が明確でない場合は、個別許可が必要となります。

例えば、個人事業主として業務を受託する場合でも、Webアプリで業務が管理される配達員など、稼働時間が確認できる場合は包括許可の対象になります。

ただし、稼働時間の定義には注意が必要です。依頼を受けるためにアプリを起動して待機している時間も稼働時間とみなされるため、この時間も含めて計算する必要があります。

また、動画投稿サイト、フリマサイト、SNSでの収入を得る活動についても気になるところですが、原則として資格外活動許可は不要とされています。

ただし、活動が反復的で継続していると判断される場合や、現在の在留資格に疑問が生じる場合は、この限りではありません。

個別許可が必要になる場合もありますし、そもそも資格外活動として認められない可能性もあります。このような新しい収入形態については、出入国在留管理庁も個別の事情を考慮して判断します。自分で判断するのが難しい場合は、最寄りの地方出入国在留管理局に相談することを強くおすすめします。

留学生が事業の経営をする場合

今後、留学生の中には学生起業家としてビジネスを始める人が増えるかもしれません。個人事業主として事業を行う場合は、稼働時間の確認が難しいため、個別許可が必要になることが考えられます。

ただし、「留学」の在留資格を持つ場合、経営活動のために授業を欠席することがなく、在学状況(出席率や単位取得状況)に問題がないことが求められます。

なお、資格外活動としての事業経営は、外国人が単独で行う小規模な活動を想定しています。そのため、新たに法人を設立したり、従業員を雇用したり、事業所を設けて活動したりする場合は、資格外活動の範囲を超えて在留目的が実質的に変更されていると見なされます。この場合、「経営・管理」の在留資格に変更する必要があります。

個人事業主として本格的に事業を行うには、「経営・管理」の資格を取得し、税務署に「個人事業の開業届」を提出することが求められます。また、帳簿をきちんとつけ、毎年、事業所得(売上から経費を引いた額)について確定申告を行う必要があります。

副業の内容によって資格外活動許可申請の要否が異なる

ここまで資格外活動許可申請の概要について説明しましたが、副業の内容によって申請が必要かどうかは異なります。

資格外活動許可申請が必要かどうかを判断するために知っておくべき情報を紹介します。

「反復性」や「継続性」のある活動かどうか

入管法では、「報酬を得る活動」や「事業を運営する活動」を無許可で行うことを完全には禁止していません。「臨時の報酬等」に該当する場合は、報酬を受け取ることが認められています。この「臨時の報酬等」については、入管法施行規則第19条の3で定められています。

第19条の3  法第19条第1項第一号に規定する業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の報酬は、次の各号に定めるとおりとする。
一  業として行うものではない次に掲げる活動に対する謝金、賞金その他の報酬
イ 講演、講義、討論その他これらに類似する活動
ロ 助言、鑑定その他これらに類似する活動
ハ 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
ニ 催物への参加、映画又は放送番組への出演その他これらに類似する活動
二  親族、友人又は知人の依頼を受けてその者の日常の家事に従事すること(業として従事するものを除く。)に対する謝金その他の報酬

ポイントは、「業として行うものではない」という点です。「業として行っているかどうか」の判断基準には、「反復性」と「継続性」があります。

これは出入国在留管理庁でも同様に考えられており、審査要領にも記載されています。当事務所の解釈ですが、ビジネスや事業としての意図がなくても、その活動を定期的に行い収入を得ている場合は、「臨時の報酬等」には該当せず、「資格外活動違反」とみなされる可能性が高いです。

基本的に、報酬が単発でお小遣い程度のものであれば、「資格外活動許可」を申請する必要はありません(ただし、単発・臨時の範囲を広く解釈するのは注意が必要です)。

ここで言う「臨時のお小遣い」とは、「業」として行っていないことが条件です。これに対し、副業とは、報酬の額に関わらず「業」として行うものを指します。

動画投稿による広告収入の考え方

動画投稿での小遣い稼ぎ程度であれば、資格外活動許可は不要と判断されることが多いです。

しかし、特にYouTubeなどの動画投稿サイトでは、広告収入を得るかどうかは投稿者が管理できます。収益を得るためには、反復継続的に動画を投稿する必要があります。

そのため、収益化している場合は資格外活動許可が必要になる可能性があります。YouTube活動が収益を生むようになった時点で、資格外活動許可を取得することを考えるべきでしょう。

資格外活動許可申請を行う重要性

資格外活動許可を得ずに行う活動は、不法就労にあたります。これにより在留資格が取り消されることや、更新が不許可になることもあります。

報酬が少額だから問題ないと思う方や、母国の口座で受け取れば大丈夫だと考える方もいるかもしれません。

しかし、在留資格の範囲外で収入を伴う事業の運営や報酬を受ける活動を行うことは禁止されています。日本での営利活動そのものが禁止されているため、報酬を外国で受け取っても問題解決にはなりません。これを許せば、在留資格があれば何でもできることになってしまいます。

自分で判断が難しい場合は、「問題ない」と思い込んだり、「面倒くさい」と思ったりせずに、最寄りの地方出入国在留管理局に相談することを強くおすすめします。

終わりに

資格外活動許可については、断片的な理解ではなく、全体像をしっかり把握することが重要です。

  1. まず、その活動が資格外活動許可を必要とするかどうかを確認します
  2. 次に、包括許可で対応できるか、それとも個別許可が必要かを判断します
  3. 個別許可が必要な場合は、その許可要件を満たしているかを確認します

留学生が動画投稿やメルカリなどで収入を得る場合、適切な判断プロセスを経て対応することが重要です。

ただし、動画投稿やメルカリでの収入は比較的新しい収入形態であるため、出入国在留管理庁も個々の事情を考慮して判断します。自分で判断が難しい場合は、最寄りの地方出入国在留管理局に相談することを強くおすすめします。

「自分のケースではどのような手続きや書類が必要か分からない」といったお悩みがある場合は、ぜひしらき行政書士事務所までお問い合わせください。

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