海外在住の外国人アーティストを「あなぶきアリーナ香川」に招へいし、コンサートを開催したいと考えています。この場合、アーティストにはビザが必要なのでしょうか?また、必要であればどの種類のビザを取得すべきか知りたいです。
結論として、海外アーティストが「あなぶきアリーナ香川」でコンサートを行うには、「興行ビザ」(正式名称:在留資格「興行」)が必要です。短期滞在ビザで入国し、コンサートを行うことは認められておらず、入国審査で拒否される可能性があります。
さらに、滞在中に興行活動を行っていることが発覚すれば、不法就労とみなされ、アーティスト自身はもちろん、招へいした企業も不法就労助長の罪に問われるリスクがあります。
ただし、興行ビザの手続きに不慣れな方にとっては、どのように申請を進めればよいのか分かりづらいかもしれません。
そこで本記事では、海外アーティストが「あなぶきアリーナ香川」でコンサートを開催する際に必要となる興行ビザの詳細や申請手続きについて解説します。「あなぶきアリーナ香川」の施設概要やビザ取得の要件についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
あなぶきアリーナ香川とは
あなぶきアリーナ香川(別名:香川県立アリーナ)は、2025年2月24日に開館を迎える中四国最大級の多目的アリーナです。主な特徴は、以下の4つです。
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特徴 |
補足 |
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多目的に利用できるアリーナ |
メインアリーナは最大1万人を収容可能です。さらに、サブアリーナや武道施設も備えており、スポーツ大会やコンサート、ファッションショー、国際会議、発表会など、多様なイベントに対応できます。 |
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中四国最大級の収容人数 |
メインアリーナには固定席5,024席に可動席を組み合わせ、最大1万人を収容可能です。プロスポーツの試合や有名アーティストのコンサート、大規模展示会など、全国規模のイベントが開催できる規模を誇ります。 |
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交流エリアを備えた新設計 |
観客席の上部には壁がなく、交流エリア・競技フロア・観客席が一体化した設計になっています。北側には瀬戸内海を望む開放的なスペースがあり、キッチンカーの乗り入れも可能です。イベントがない日も憩いの場として利用できます。 |
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環境に配慮したやさしいデザイン |
外観は緩やかな曲線を取り入れ、周囲の景観と調和するよう高さを抑えた設計です。バリアフリー設計を採用し、車いすの方や子育て中の方、高齢者、子どもたちも利用しやすい施設となっています。 |
最新の設備と機能性を備えたあなぶきアリーナ香川は、中四国エリアの新たなランドマークとして、多くの人々が集う場所になることが期待されています。
すでにサザンオールスターズやMISIA、MAN WITH A MISSIONといった人気アーティスト・バンドや、「Hello Arena 2025」をはじめとする音楽フェス、RIZINのような格闘技イベントの開催も予定されています(2025年1月時点)。今後は、様々な海外アーティストが来日公演を行うことが想定されます。
参考:あなぶきアリーナ香川
あなぶきアリーナ香川でのコンサート開催に必要な興行ビザ
興行とは、映画・演劇・音楽・スポーツ・エンターテインメントなどを特定の会場で観客に披露する活動を指します。「あなぶきアリーナ香川」に限らず、日本でこうした活動を行う際、外国人は「興行ビザ(在留資格「興行」)」を取得する必要があります。 興行ビザは、以下のような職種の外国人が日本で報酬を得て活動する際に必要です。
- パフォーマー:ミュージシャン、俳優、モデル、ダンサー、プロスポーツ選手、eスポーツ選手
- 制作・運営スタッフ:振付師、演出家、マネージャー、カメラマン、照明スタッフ
- 特殊職種:サーカスの動物飼育係、スポーツ選手のトレーナー など
興行ビザは「芸能ビザ」「エンターテインメントビザ」「プロアスリートビザ」とも呼ばれ、エンタメ業界やスポーツ業界で広く利用されています。
興行ビザには、3年・1年・6ヶ月・3ヶ月・30日の5種類があり、活動の内容や契約期間に応じて異なります。興行ビザがない状態で日本で公演やイベントを行うと、不法就労と見なされる可能性があるため、適切なビザを取得することが重要です。
「興行ビザ」は、活動内容に応じて基準1号から3号までのカテゴリーに分かれており、それぞれのカテゴリーで取得条件が異なります。
興行ビザの種類
「興行ビザ」は、活動内容に応じて大まかに基準1号から3号までのカテゴリーに分かれており、各カテゴリーで取得条件が異なります。海外アーティストを「あなぶきアリーナ香川」に呼ぶ際は、基準1号における以下いずれか(イ、ロ、ハ)に該当するのが基本です。
- イ:本邦の公私の機関と締結する契約に基づいて、風営法第2条第1項第3号までに規定する営業を営む施設以外の施設で行われるもの
- ロ:次のいずれかに該当するもの
・我が国の国、地方公共団体の機関又は特殊法人が主催する演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行及び学校教育法に規定する学校、専修学校又は各種学校において行われるもの
・文化交流に資する目的で、国、地方公共団体又は独立行政法人の援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催するもの
・外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために、外国人による演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行を常時行っている敷地面積10万平方メートル以上の施設において行われるもの
・客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの又は客席部分の収容人員が100人以上であるものに限る。)において行われるもの
・当該興行により得られる報酬の額(団体で行う場合は、当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり、かつ、30日を超えない期間本邦に在留して行われるもの - ハ:イ、ロのいずれにも該当しないもの
興行ビザの申請から取得するまでの流れ
外国人を「あなぶきアリーナ香川」に招へいするための興行ビザ取得の基本的な流れは、以下のとおりです。
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ステップ |
補足 |
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①事前準備 |
まず、主催者や招へい機関を決定し、開催する会場(あなぶきアリーナ香川)や日程、滞在先を確保します。また、活動予定表を作成し、アーティストと出演契約を締結。公演期間や報酬についても合意を得ておきます。 |
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②申請書類の準備と作成 |
興行ビザの申請には、特定の書類が必要になります。書類はカテゴリーごとに整理し、正確に作成しましょう。 |
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③在留資格認定証明書の申請 |
招へい機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理局にて、在留資格認定証明書(COE)の交付を申請します。申請は招へい機関の担当者が行い、必要に応じて追加資料を提出することもあります。 |
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④申請結果の通知 |
申請後、約1〜3ヶ月で審査結果が通知され、COEが交付されます。交付されたCOEは、海外にいるアーティスト本人へ送ります。 |
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⑤ 査証(ビザ)の申請 |
アーティスト本人が現地の日本大使館または領事館でビザを申請します。申請時には、COEの原本が必要です。審査期間は通常約5営業日で、パスポートにビザが貼付されます。 |
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⑥来日 |
ビザが発給されたパスポートとCOEを持参し、日本に入国。上陸審査を経て、在留カードが交付されます。 |
この流れに沿って適切な手続きを進めることで、海外アーティストがスムーズに「あなぶきアリーナ香川」での公演を行えるようになるでしょう。
申請の必要書類
興行ビザの申請に必要な書類は、ビザの種類によって異なるため、事前にしっかり確認しておくことが重要です。法務省の案内だけでは分かりにくいことも多いため、ここでは基本的な必要書類を整理してご紹介します。
【基本書類】
- 在留資格認定証明書交付申請書(1通)
- 証明写真(縦4cm×横3cm、1枚)
- 返信用封筒(1通)
【申請者に関する書類】
- 経歴書および活動経歴を証明する書類(適宜)
【招へい機関に関する書類】
- 登記事項証明書(1通)
- 直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)(1通)
- 会社概要を示す資料(適宜)
- 従業員名簿(1通)
【興行を行う施設に関する書類】
- 営業許可書の写し(1通)
- 施設の図面(間取りなど)(1通)
- 施設の写真(客席、控室、外観など)(適宜)
【興行に関する契約・活動内容を証明する書類】
- 興行契約書の写し(1通)
- 日本での活動内容・期間・地位・報酬を示す書類(1通)
- その他、参考資料(適宜)
上記のほかに、ケースによって追加書類が求められる場合もあります。申請前に、最新の情報を確認するほか、申請先からの求めに応じて必要な書類を揃えましょう。
終わりに
あなぶきアリーナ香川でのコンサートを検討する海外アーティストにとって、興行ビザの取得は欠かせない重要なステップです。スムーズに申請を進めるためには、正確な情報を把握し、必要な準備を整えることが不可欠です。
アーティスト本人だけでなく、招へい機関やイベント主催者、会場スタッフが一丸となって計画を進めることで、日本での音楽活動の幅を広げ、より多くのファンと感動の瞬間を共有できるはずです。
事前準備をしっかり行い、日本でのパフォーマンスを成功に導きましょう。準備に不安があれば、在留資格の手続きに精通している行政書士にサポートに相談することをおすすめします。
しらき行政書士事務所では、在留資格の申請手続きに関して、初回相談無料で対応しております。
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