本日は、香川県高松市にてビザの申請業務を中心に活躍されている「しらき行政書士事務所」の行政書士、白木衛(しらきまもる)さんに、経営管理ビザの制度変更とその影響についてお話をお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
白木よろしくお願いいたします。
目次
経営管理ビザの制度変更について
まずはじめに、経営管理ビザが変わったと聞きます。どのような変更があったのか、簡単にご説明いただけますか?
白木はい。まったく別のビザになったといっても過言ではないくらい、大きく変わりました。以前の要件では、500万円の資本金か常勤2名がいれば取得できるというイメージでした。比較的ハードルが低く、事業の規模や申請者の学歴や職歴を問わず申請できる制度でした。それが新制度では、資本金3,000万円以上が必要となり、さらに日本人等の常勤の職員が1名以上いることも条件として加わりました。資本金の基準だけ見ても、6倍に引き上げられたことになりますので、影響を受ける方はかなり多いと思います。
そうすると、新規に経営管理ビザを取ろうとする方、日本で起業しようとする方はだいぶ減った印象ですか?
白木減りましたね。制度が変わる前に駆け込みで申請した方が多かったようですが、その審査でも新制度の基準が適用された結果、不許可になったケースが多かったと聞きます。そのため、今後は日本でゼロから新規事業を立ち上げるというよりも、すでにある程度の規模を持つ企業が日本に関連会社を設立するというレベルの話になってきています。
また、以前は経営経験は特に問われませんでしたが、新制度では3年以上の会社経営経験か、経営に関連する修士以上の学位が求められるようになりました。これも新規取得をかなり難しくしている要因のひとつです。スタートアップなどはかなり厳しいかと思います。
それはかなり厳しくなりましたね。
白木新規での取得はよほどの条件が整っていないと難しくなりました。また、すでに経営管理ビザを持っている方も安心はできません。2028年10月中旬までの猶予期間はあるものの、それまでに新しい基準に合わせていかないといけないんです。3年以上の経営経験はクリアできるとしても、3,000万円の資本金や常勤職員の確保という基準は、既存の方にとってもかなり高いハードルになります。
ほかにはどんな変更点がありますか?
白木日本語能力も求められるようになりました。経営者自身、あるいは常勤の職員が日本語を話せることが条件となります。単に「話せる」というだけでなく、経歴や資格で立証できることも必要になりますので、この点でつまずく方もいらっしゃるかもしれません。
お金さえあればビザが取れるという、制度の想定外の活用が増えたことが変更の背景にあるのでしょうか?
白木そういった背景はあったと思います。500万円さえ用意できればなんとかなるという、比較的緩い制度でしたので、本来の趣旨とは異なる形での活用されるケースが増えていたようです。たとえば、親を会社代表にしてビザを申請し、親を日本に呼び寄せたり、どのビザも取得できないから、とりあえず500万円を用意して申請したりといった使い方もあったと聞いています。そういった積み重ねに、国が本腰を入れて対策を行うことを決め、今回の大幅な基準変更につながる流れになったのではないでしょうか。
更新を予定している方が気をつけるべきこと
更新を予定している方は、まず何に気をつけていったらよいでしょうか?
白木まず大きく3つのポイントがあります。1点目は、3年後に3,000万円の資本金(増資)を達成するための事業計画を立てること。2点目は、常勤の職員を確保すること。ここで注意が必要なのは、常勤職員として認められるのは日本人や永住者などに限られており、就労系の在留資格を持つ外国人の方を雇用しても該当しない点です。3点目は、日本語を能力のある人材の確保です。これも経歴や資格による立証が求められます。
そして直近の話でいえば、必要な提出書類が大幅に増えています。3年後を見据えた準備も大切ですが、次の更新から書類の収集や整理にかなり手間がかかるようになりますので、早めに確認しておくことをお勧めしています。
そんなに書類が増えたんですか?
白木以前は会社の決算書類や本人の税関係の書類が中心でしたが、今回からは登記簿謄本、事業を行うために必要な許可証の写し、常勤職員がいる場合は賃金台帳、在留資格や国籍のわかる書類なども必要になりました。さらに、法人税や法人住民税の納付状況、社会保険・労働保険への加入状況を示す書類も求められます。
税金の納付状況や社保の加入状況によっては、長期の許可が下りない可能性もあります。入管が実態をより厳しく確認していく姿勢のあらわれだと感じています。
「これは厳しそう」と感じた方はどうなるのでしょう?
白木小規模でビジネスをされている方の中には、そもそも3,000万円もの資本金を必要としない事業をされている方も多いですよね。事業の実態として必要のない金額を増資しなければならないとなると、現実的ではないと感じる方もいらっしゃると思います。そういった方にとって新しい基準に合わせることは相当厳しい状況になりますので、早めに専門家へ相談して方向性を整理することが大切になってくると思います。
かなり取得するのが難しいビザになったということですね。
白木本当にそうですね。ある程度の規模を持つ企業でないと難しいビザになったと思います。もともと経営管理ビザで3年の許可を得るのは難しかったのですが、今後はさらにハードルが上がりそうです。最初は1年だけの許可にとどまる可能性が高くなるのではないかと感じています。ましてや5年の許可となると、相当な条件が揃っていないと出ないのではないでしょうか。許可期間が短くなれば、それだけ更新の手続きも頻繁になりますので、会社やご本にとっても非常に大きな負担になります。
既存のお客様への対応とこれからのサポート
白木さんのこれまでのお客様からも、変更についての質問などはきていますか?
白木「いま持っているビザはどうなるの?」というご質問はよくいただきます。こちらからも、すでに経営管理ビザを取得して事業を行われている外国人の方には積極的にご説明するようにしています。お話を聞くと、多くの方は次の更新に向けて状況を整えていきたいと考えていて、「3年後に向けてどう動けばいいか?」という相談も増えてきています。
そういった方々に対して、事業計画の見直しや書類準備のサポートをしていければと思っています。外国人を雇用する場合と同様、経営管理ビザの手続きも「原則不許可」という申請です。制度が変わった今、以前よりさらに慎重に、正確な知識を持って臨むことが求められています。もし手続きに不安な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
ありがとうございました。




