四国地方では、多くの外国人労働者が活躍しています。四国で外国人を雇用したいと考えた際に、どの企業が実績を持っているのか、またどのような外国人労働者が雇われているのか、気になる方も多いでしょう。
この記事では、四国4県における外国人労働者の雇用状況を、在留資格や産業別に詳しく紹介します。これまで数多くの外国人雇用手続きに携わってきた、四国地方・香川県の行政書士が解説します。
四国4県での外国人雇用に関してお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
四国4県における外国人雇用状況まとめ【2024年最新版】
本記事では、外国人雇用状況について、主な情報を四国4県ごとにまとめています。
香川県 | 徳島県 | 愛媛県 | 高知県 | |
---|---|---|---|---|
外国人労働者数 | 12,302人 | 5,656人 | 12,476人 | 4,510人 |
外国人を雇用する事業所数 | 1,980所 | 1,230所 | 2,131所 | 1,106所 |
外国人雇用が最も多い産業 | 製造業 | 製造業 | 製造業 | 農業・林業 |
外国人雇用で最も多い在留資格 | 技能実習 | 技能実習 | 技能実習 | 技能実習 |
2023年10月末時点で、四国地方における外国人労働者の数は、4県すべてで前年同期と比べて増加し、2007年に届け出が義務付けられて以来、過去最高を更新しました。これは、新型コロナウイルスによる入国制限が完全に解除され、労働者の再入国や新規流入が増えたことが主な要因です。
四国で最も多くの外国人労働者を抱えているのは愛媛県で、その数は1万2476人(前年同期比22%増)に達しました。次いで香川県が1万2302人(20%増)と僅差で続いています。徳島県では5656人(12%増)、高知県では4510人(19%増)となり、全ての県で外国人労働者を雇用する事業所数も増加しています。
国籍別では、全ての県でベトナム人労働者が最も多く、産業別では高知県を除く3県で製造業が最多となりました。一方、高知県では農業・林業が最も多い産業です。また、在留資格別では、全県で「技能実習生」が最も多いことが報告されています。
なお、ここで取り上げている情報は、2024年8月現在での最新情報である四国各県の労働局が公表している資料「外国人雇用状況の届出状況(令和5年10月末時点)」からピックアップしています。
以降の章では、四国地方の各県における外国人雇用状況をそれぞれ順番に解説します。
香川県における外国人雇用状況
香川労働局の報告資料によると、香川県における外国人労働者数は12,302人で、前年比で2,028人増加しています。これは届出が義務化された平成19年以降で過去最高を記録しており、対前年増加率は19.7%と前年の3.2%から16.5%の上昇が見られました。
香川県における外国人を雇用する事業所数は1,980所あり、前年比で135所増加しています。こちらも、届出が義務化されて以降で過去最高を記録しました。このうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所数は98所 (4.9%)です。
香川県における外国人労働者を国籍別に見ると、ベトナムが最も多く3,433人(外国人労働者数全体の27.9%)です。次いで、インドネシアの2,064人(同16.8%)、中国の2,012人(同16.4%)が多い結果となりました。
香川県における外国人労働者を在留資格別に見ると、「技能実習」が5,691人で、外国人労働者数全体の実に半分近く(46.3%)を占めています。次いで、「専門的・技術的分野の在留資格」が3,651人(同29.7%)、「身分に基づく在留資格」が1,842人(同15.0%)の順番です。
産業別に外国人を雇用する事業所の割合を見ると、「製造業」が31.6%を占めており、次いで「建設業」が15.9%、「卸売業、小売業」が11.6%の順番となっています。 各産業の事業所数を見ると、「建設業」は前年比で10.2%増加しているほか、 「製造業」は同8.5%、「卸売業、小売業」は3.6%増加している状況です。
また、事業所規模別の割合を見ると、「30人未満」規模の事業所が最も多く、事業所数全体の64.5%を占めています。 事業所数の推移については、「30人未満」規模の事業所では前年比92所(7.8%)、「30~99人」規模の事業所で25所(6.0%)、「100~499人」規模の事業所で10所(5.2%)、「500人以上」規模の事業所で7所(19.0%)増加している状況です。
徳島県における外国人雇用状況
徳島労働局の報告資料によると、徳島県における外国人労働者数は5,656人で、前年同期比 で593人(11.7%)増加しています。徳島県において外国人労働者を雇用する事業所数は1,230所あり、前年同期比で23所(1.9%)増加しました。このうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所数は53所 (4.3%)です。
徳島県における外国人労働者を国籍別に見ると、ベトナムが最も多く2,071人で、外国人労働者全体の 36.6%を占めています。次いで 中国が967人(同 17.1%)、インドネシア が684人(同12.1%)と続いている状況です。
徳島県における外国人労働者を 在留資格別に見ると、「技能実習」が最も多く2,918人です。これは、外国人労働者全体の51.6%にあたります。
地域(公共職業安定所の管轄区域)別に外国人労働者数を見ると、徳島地域が最も多く 2,569人です。次いで、鳴門地域が1,146 人、吉野川地域が664人を記録しています。
また、地域(公共職業安定所の管轄区域)別に外国人労働者を雇用する事業所数を見ると、徳島地域が最も多く573所です。次いで、鳴門地域が290所、吉野川地域が135所です。
外国人労働者が就労している業種を産業別に見ると、「製造業」が外国人労働者全体の34.7%を占め、次いで「農業、林業」が13.0%、「医療、福祉」が12.5%となっています。外国人労働者を雇用する事業所数を産業別に見ると、「製造業」が20.5%を占め、次いで「農業、林業」が15.4%、「建設業」が12.8%です。「製造業」の構成比は、全国における構成比(外国人労働者数全体の27.0%、事業所全体の17.2%)と比べると高いのが特徴です。
事業所規模別の割合を見ると、「30人未満の事業所」が最も多く、外国人労働者数全体の47.8%を占めています。「30人未満の事業所」の構成比は全国における構成比(外国人労働者数全体の36.1%)と比べると高い点も、徳島県における外国人雇用状況の特徴です。
愛媛県における外国人雇用状況
愛媛労働局の報告資料によると、愛媛県における外国人労働者数は12,476人で、前年同期比で2,275人、22.3%増加しました。これは、届出が義務化された平成19年以降で過去最高の数値です。
愛媛県において外国人労働者を雇用する事業所数は2,131所で、前年同期比で145所、7.3%増加しています。こちらも、届出義務化以降で過去最高を更新しました。このうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所数は229所 (10.7%)です。
愛媛県における外国人労働者数を国籍別に見ると、ベトナムが最も多く3,768人で、外国人労働者数全体の30.2%を占めています。次いで、フィリピンが3,135人(同25.1%)、中国が1,695人(同13.6%)の順番で推移しています。
愛媛県における外国人労働者数を在留資格別に見ると、「技能実習」が最も多く6,629人で、外国人労働者数全体の53.1%を占めている状況です。次いで、「専門的・技術的分野の在留資格」の3,632人(同29.1%)でした。
外国人労働者が就労している業種を産業別に見ると、製造業が最も多く、事業所数は816所で、事業所数全体の38.3%を占めています。次いで、「建設業」が13.3%、「卸売業、小売業」が11.3%の順となっています。 また、産業別の増加率を見ると、「教育、学習支援業」が前年同期比で20.6%増加しました。「医療、福祉」が同10.3%増加、「建設業」が同9.7%の増加となっています。
なお、製造業における外国人労働者数は、7,060人で、外国人労働者数全体の56.6%です。
規模別に外国人を雇用している事業所の割合を見ると、「30人未満」規模の事業所が最も多く、事業所数全体の63.8%を占めています。増加率では「30人未満」規模の事業所が前年同期比8.9%(111所)、「30~99人」規模の事業所が同6.7%(29所)、「100~499人」規模の事業所が同0.8%(2所)、「500人以上」規模の事業所が同3.2%(2所)の増加となっています。
高知県における外国人雇用状況
高知労働局の報告資料によると、高知県における外国人労働者数は4,510人で、前年同期比で727人(19.2%)増加しています。高知県における外国人労働者を雇用している事業所数は、1,106所で、前年同期比で89所(8.8%)の増加が見られました。このうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所数は25所 (2.3%)です。
高知県における外国人労働者数を国籍別に見ると、ベトナムが最も多く1,708人で、前年同期比で226人(15.2%)増加しています。次いで、インドネシアが794人(前年同期比281人、54.8%増)、フィリピンが641人(前年同期比64人、11.1%増)の順番で続いています。
高知県における外国人労働者数を在留資格別に見ると、「技能実習生」が2,377人(前年同期比265人、12.5%増)で全体の52.7%を占めている状況です。次いで、「専門的・技術的分野」が1,125人(前年同期比361人、47.3%増)、永住者など「身分に基づく在留資格」が578人(前年同期比36人、6.6%増)となっています。
高知県における外国人労働者数を産業別に見ると、農業・林業が990人(前年同期比93人、10.4%増)で全体の22.0%、製造業は863人(前年同期比152人、21.4%増)で19.1%を占め、次いで卸売業・小売業が796人(前年同期比181人、29.4%増)で17.6%を占めている状況です。
事業所規模別の外国人労働者数を見ると、「30人未満」規模の事業所が事業所数・外国人労働者数ともに最も多く、それぞれ全体の71.7%、49.6%です。
四国4県における外国人雇用の手続き
外国人の雇用は、大まかに以下の順で手続きを進めていきます。
- 面接
- 内定
- 在留資格認定証明書交付申請
- 認定証明書交付
- ビザ申請
- ビザ発給
- 来日
- 上陸許可
- 就労開始
内定が決まっていても、在留資格認定証明書が交付されてビザの取得ができないと、就労を開始できません。
また、就労開始後には、以下のような手続きが求められる点にも注意しましょう。
- 「契約機関に関する届出」「活動機関に関する届出」
- 雇用保険加入の手続き
- 健康保険・厚生年金加入の手続き
- 中長期在留者の受け入れに関する届出
四国における在留資格申請窓口
下表に、四国地方における在留資格の申請窓口をまとめました。
名称 | 住所 | 管轄 | 連絡先 |
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高松出入国在留管理局 |
〒760-0033 ※申請に対する審査部門 【浜ノ町分庁舎】 |
|
087-822-5851 |
小松島港出張所 |
〒773-0001 |
|
0885-32-1530 |
松山出張所 |
〒790-0066 |
|
089-932-0895 |
高知出張所 |
〒780-0850 |
|
088-871-7030 |
窓口受付時間は、高松出入国在留管理局(浜ノ町分庁舎)のみ9時~16時(昼休みなし)、それ以外の申請窓口では9時~12時および、13時~16時 (土・日曜日、休日を除く)です。
終わりに
本記事では、四国4県における外国人雇用状況を中心に紹介しました。
- 在留資格別に見ると、「技能実習」が多い
- 国籍別に見ると、ベトナムが多い
- 産業別の割合を見ると「製造業」が多い
- 事業所規模別の割合をみると、「30 人未満」規模の事業所が多い
四国地方では製造業での外国人雇用が多く、技能実習生としての受け入れを多く行っていますが、他の在留資格での雇用もみられます。外国人雇用のビザ申請手続きは在留資格によって異なるので、要件や必要書類の違いに注意が必要です。
適切な外国人雇用で、人手不足の解消や事業の拡大を目指しましょう。
しらき行政書士事務所では、就労ビザの申請手続きに関して、初回相談無料で対応しております。
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